LAMTIP PARTNERS Co., Ltd.

Columnコラム

所長コラム

タイでの商取引~ポイント

2013 年 2 月 20 日

先日当社がコンサルティングを行っている企業が、銀行・仕入先
他に対して持株会社設立に向けての、説明会を行いました。

両社とも歴史のある会社です。

上場会社の持株会社設立は、かなり頻繁に行われて来ていますが、
みずほ銀行の様に、社内の内部統制は一筋縄ではいきません。

これが中小企業になりますと、オーナー企業同士のため、より統合は
難しくなります。

当日の説明会の会場には数百名の関係者が集まり凄い熱気となりました。

最近株主総会でも、ここまでの熱気は見受けられません。

持株会社に就任される経営陣の方々からのスピーチも印象的でした。

もちろん自分たちの会社の行く末を考えて行った事であるとは思いますが、
業界全体に対しての大きなインパクトを考えての選択だと思います。

近年、中小企業・中堅企業の経営者の平均年齢がかつてなく高くなって
きています。

その原因として、「事業を承継してくれる人材がいない」、
「承継するための税制等が整っていない」等、いくつか理由はあります。

次号で解説していきますが、25年の税制改正で事業承継にはかなり
有利な税制となってきました。

ただ人の問題は、特に歴史のある企業ほど、自社への思い入れ、利益留保
等の問題で並大抵の判断では、先に進めません。

しかしこの両社は、勇気ある一歩を踏み出しました。

今回の方法が成功すれば、業界団体全体への一つの道標になる
可能性があります。

アベノミクスで株価は上がってきていますが、中小・中堅企業には
まだまだ厳しい時代です。

持株会社は設立後が重要です。

是非成功裏に終わるよう、私たちも頑張ってお手伝いしていきたいと
思っています。

 

今回は前回お話ししたタイでの税制から一歩進んで、タイでの商取引で
興味深い内容をピックアップしてみました。

タイでは外国からの投資に対して「インセンティブ」と「規制」両方を
同時に使い分けることで、自国の経済発展を支援しています。

 

〇タイで事業を行うときの投資インセンティブ

外国企業に対して「場所」と「業種」で優遇措置を与えています。

●投資奨励ゾーン別優遇策

バンコクの様な首都に近いところではなく、田舎に投資することに
対して優遇措置があります。

●奨励業種策

タイで育ってもらいたい特定の業種に対して優遇措置があります。

タイの特定公社が開発している工業団地に入ると、外国企業にも
土地の所有権が持てるなどの優遇策を取っています。

タイでは昨年洪水があり、アユタヤの工業団地などは水没してしまった
ため、代わりの工業団地として、アマタナコンの工業団地が人気という
ことでした。

バンコクから通勤1時間圏内で、港、空港まで50キロ以内と立地も
良くアユタヤの代わりとして、開発が進んでいるようです。

投資インセンティブのメリットについては、

△法人税の減免措置

△土地所有権の許可
(タイでは外国人は土地は所有できません)

△就労ビザ延長手続きの円滑化

△100%外国資本の企業設立の許可
(タイでは100%外国法人は設立できません)

△機械等輸入に関する関税の免除

等があります。

 

〇タイでの外国企業への投資規制

●外国法人の子会社は設立することはできません。

資本金のうち50%以上の株式を外国人が取得することができません。

●外国人が土地を所有することはできません。

製造業以外の業種は100%子会社をタイに設立することが
できません。

そのため、現地に既に進出している日系企業に資本参加してもらい
投資リスクをクリアする場合も多いようです。

 

〇タイでの融資状況

銀行借り入れですが、サイアムコマーシャル、カシコンバンク、
バンコク銀行等、タイ資本の商業銀行が日系企業にも積極的に
融資を行ってきています。

また、日本の地方銀行がバンコク銀行と提携して積極的な融資を展開
しています。

ただ、日系の銀行を使う場合は、設立間もない場合は、日本の親会社の
与信が重要とのことなので、バンコク進出を行う前に、日本の金融機関での
確認が欠かせません。

 

〇タイでの不動産取引

タイでは外国人が土地の所有権を取得することは認められていません。

1棟立ての不動産を取得する場合でも外国人には「部屋の数」、「平米数」、
「金額」のいずれか49%までの所有しか認められていません。

また、ファンド形態ではパススルー課税が認められていないため、
複数の個人が出資して大規模物件を所有するという方法は難しいようです。

特にユニークだったのは、タイの不動産物件は、建築許可が出たからと言って
日本の様に必ず建物が建つ訳では無いという事です。

(以下カッコ書きは建物の価値を表します)

まず建築する前提で建築資金を募ります。(=80円)

その物件が完成した時点で所有権の登記をします。(=100円)

その後実際に販売を行います。(=120円)

即ち、建築時点から資金を投下した場合、実際の販売が行われる時点までで
3~4割は価値が上がるようです。

逆に建物が建つ前から投資したけれど、建たなかった場合は、投資資金の
何割かが捨てガネになります。

投資というより投機に近い感覚ですね。

不動産物件そのものも、日系以外の建築会社では築後10年~20年程度で
かなりの手入れが必要になってしまうため、新築物件は投資には不向きとの
事でした。

中古資産の方が、不良部分が洗い出されて時価が決まり、利回りが確定
するようです。

 

〇タイでの会社設立

ジェトロでもインキュベーション施設として新会社の設立後3ケ月までは、
事務所を格安で使用できます。

ただ、常に満室のため、入居すること自体が難しいという事と、
3ケ月以降は独自に施設を探さなくてはならないことが難点です。

 

以上取り留めの無いお話なってしまいましたが、「この業種!」と絞って
頂けると、より具体的な情報をお届けすることができますので、ご質問等
ございましたら、ご連絡ください。