Columnコラム
タイの税制について
2013 年 2 月 1 日昨年末のバンコク訪問は、学生時代以来なので20年以上ぶりでした。
市内もうろ覚えの景色が全て変わってしまい、交通機関等の勝手も
わかりません。
朝の5時半にスワンナプーム国際空港に着いたのですが、そのまま
JTBのバスでバンコク市内のホテルにあっという間に到着しました。
まだチェックインもできません。
ミーティングは11時なので、かなり時間があります。
そのため、朝のバンコク市内を回ってみることにしました。
バンコク市内は、BTS(モノレール)、MRT(地下鉄)、バス、タクシーが、
頻繁に往来しており、移動はスムーズです。
ただ、渋滞が凄まじいので、朝と夕刻にはバス・タクシーは時間通りに
動けないと思った方が良さそうです。
タクシーは初乗り約100円(35バーツ)なので、日本と比較するとかなり
安めです。
メーターのあるタクシーだと料金交渉もないので安心でした。
BTS(モノレール)・MRT(地下鉄)は初乗り約50円(15バーツ)なので、
こちらも非常に安いですね。
朝食はバンコクのカオマンガイ(蒸し鶏ごはん)で有名な店に食べに
行ってみました。
日本の新宿の思い出横丁を少し汚くした感じの、ごみごみしたガード下
でしたが、とても味は美味しく、値段は約100円(35バーツ)でした。
衣食住のうち、衣食に関しては、日本と比較してかなり物価は安めです。
※約3バーツ=1円(25年1月現在)
今回はタイの租税体系をご説明していきます。
〇タイの租税体系
国税と地方税がありますが、国税の割合が高めです。
国税は直接税である法人の法人税、個人の所得税と間接税である
付加価値税及び物品税が主な税金となっています。
〇タイに進出する際の税務
進出形態については、現地に会社を設立する場合はタイの内国法人として
タイの法律に従い課税されます。
これに対して、日本からの輸出・代理店を通じたブランチ(支店)での活動を
行う場合はタイの税法に基づいた課税では無くなります。
日本はタイと租税条約を結んでいます。
租税条約は、国内法に優先して適用される法律であるため、国内法で
「課税」となっていても租税条約で「課税されない」となっていれば
課税されることはありません。
また、タイに進出した場合、組織形態により課税対象が異なってきます。
〇タイに進出する際の組織形態
●タイに法人を設立せずに取引を行う場合
▽駐在員事務所を設ける場合
駐在員の営業活動は禁止されているが、所得が発生した場合は、
外国法人として「タイ国内で発生した所得」にのみ課税されます。
●タイに法人を設立して取引を行う場合
▽タイに支店(ブランチ)を設ける場合
外国法人とされるため、「タイ国内で発生した所得」に対して課税されます。
▽タイに本店(法人)を設ける場合
タイの内国法人とされ、この法人が得た「所得全て(全世界)」に対して
課税されます。
〇タイの法人税
●納税対象者
タイの内国法人は当たり前ですが、外国法人でも、「恒久的施設=PE」にて
事業を行っている場合は、タイで課税されることになります。
このPE課税がわかりづらいので、解説します。
PE(恒久的施設)課税とは、日本企業側がタイに支店を持っているという
認識がない場合でも、実態があるとしてタイで課税されてしまう対象がある
場合を言います。
▽建設工事の監督等で3ケ月を超える事務所を置く場合
▽6ヶ月を超えて日本企業の従業員がサービスを行う場合
▽日本企業に雇われた代理人がいる場合(以下の2つの場合PEと
なります)
▼日本企業に代わって契約を行う代理人がいる
▼契約はできないが、日本企業の代わりに在庫を保有し、注文を取り、
販売している
※現地の問屋等を使う場合はこの限りではありません
※物品の展示のみで販売を行っていない場合はこの限りではありません。
●事業年度
12か月
●税率
▽原則
所得に対し20%の課税(25年以降も継続される予定)
▽中小企業(資本金が500万バーツ(1,500万円)以下の企業)特例
▼15万バーツ(45万円)以下・・・課税無し
▼15万バーツ(45万円)~100万バーツ(300万円)・・・15%
▼100万バーツ(300万円)超・・・20%
法人税は日本と比較すると地方税(住民税・地方税)もないため、
実質半額程度になってきています。
アセアン諸国は法人税の引下げ合戦を行っているため、
タイもこの2~3年で10%下がってきています。
●申告(納付)
▽中間申告
期首から6ヶ月を経過した日から60日以内に中間申告納付。
決算時の確定申告時に中間申告した所得が25%以上上回っていると
不足税額に20%を加えて追加納付させられます。
●確定申告
期首から12ヵ月経過した日から150日以内に確定申告納付。
●その他
▽欠損金は5年間繰り越せます。
〇タイの消費税
タイでは消費税の事を付加価値税(VAT)と呼んでいます。
●納税義務者
売上高が180万バーツ(540万円)を超える企業(個人)
180万バーツ以下の企業(個人)は対象外となります。
●税率
7%
●申告納付
毎月申告納付します。
〇タイの所得税
●納税義務者
▽1月1日以降年間180日以上タイに滞在する者(暦年)
日本とタイの納税義務者(居住者)の範囲が異なるため、
二重課税となった場合は租税条約に基づいて判断します。
▽従業員の場合
日本からタイに出張する場合、以下の要件を満たすとタイ側の課税が
されません。
▼滞在日数が180日を超えないこと
▼給与が日本で支払われること
▼給与がタイのPEで負担していないこと
▽役員の場合
日本企業の役員がタイに駐在し、日本で非居住者
(日本の国内勤務がない)となっていても、役員報酬が日本で
支払われている場合は、日本で課税されます。
役員でタイに駐在する場合は気を付けてください!
●税率
▽~15万バーツ(45万円)以下・・・課税無し
▽15万バーツ(45万円)~50万バーツ(150万円)・・・10%
▽50万バーツ(150万円)~100万バーツ(300万円)・・・20%
▽100万バーツ(300万円)~400万バーツ(1,200万円)・・・30%
▽400万バーツ(1,200万円)超・・・37%
日本と余り変わらないと思っていましたが、25年から富裕層に対する
日本の税率が上がってしまいますね・・(泣)
●申告納税
毎年3月末までに申告納税します。
詳細で不明点がある場合はご連絡ください。
次回はタイでの取引等で興味深い点をお話ししていきます。