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ラムチップ・パートナーズ国際社会保険労務士事務所開設しました! 不動産オーナーの節税対策 その1

2014 年 11 月 4 日

税理士の宮原でございます。

このたび11月から『ラムチップ・パートナーズ国際社会保険労務士事務所』を
開設致しました。

あえて『国際』とつけたのは海外進出に伴い労務問題も海外絡みの案件が
増えているためです。

中小企業も海外の成長を取り込まなくてはいけない時期に入ってきました。

特に海外進出で尖兵になっている従業員の方のフォローと、従業員を送り出す
会社間のコミュニケーションが取れれば・・と思っています。

また通常の日本国内での労務相談や、給与計算の受託も行いますので、
気軽にお申し付けください!

 

先週、某不動産会社でのセミナーを行ってきました。

内容は「不動産所有者の節税対策」です。

不動産所得がある場合、土地と建物を個人で持つ方が良いのか、会社で持つ
方が良いのか迷っているオーナーの方が多いようです。

今後数回に分けて土地と建物両方を持っている不動産オーナーが、個人と法人
(100%株式所有会社)でどのように不動産を持つと税制上有利か分析し、
いくら賃料が上がってくると会社を設立するべきか判断していきます。

 

□『管理委託方式』

まず一つ目の不動産の持ち方は、『管理委託方式』と言って、土地・建物
いずれも個人のオーナーが所有し、その不動産の管理業務を法人に委託して
管理料を徴収する方法です。

○不動産管理会社の管理業務

不動産の管理を委託された法人が行う管理業務ですが、入居者の募集面接、賃貸
借契約の締結、更新、解約などの手続き、入居者や近隣住民などのクレーム処理、
入居者の退去時のチェックと精算金の精算、家賃の請求と受領、建物及びその
周辺の清掃・見回り、警備(巡回)・管理業務、共用部分の保守・管理業務など
でしょうか。

○不動産管理法人への管理料

みなさんこの管理料をいくらにするか迷われていると思いますが、
やはり委託する管理業務の内容や実態などに応じて個々に算定するべきです。

管理料における家賃収入は、礼金や更新料等の臨時的、一時的収入や共益費、
共用部分の水道光熱費等を除いて計算します。

○管理業者に管理業務を委託した場合

オーナーが所有する管理会社だと恣意的な管理料だと税務署から指摘される
場合が多い為、第3者の管理会社に委託した場合の管理報酬の算定の仕方を
参考にするべきです。

第3者の管理会社に委託する場合は、家賃の集金額(現金ベース×管理料割合)で
管理料を請求するため毎月の管理料は集金額により変動した方が良いでしょう。

毎事業年度ごとに管理料の見直しを行い、管理契約書を締結しますし、もちろん
業務日誌は必須です。

○管理報酬

『管理委託方式』をとる不動産管理会社には借家人支払家賃額総額の3%~8%
程度の報酬が一般的な管理料の相場といえます。

 

□『サブリース方式』

次に、『サブリース方式』ですが、これは土地・建物の所有者は個人のままで、
所有する不動産を空室リスクを加味した家賃で一括して法人に借上げてもらい、
これを法人が通常の家賃で居住者の賃借人に転貸する方式です。

○一括賃料の算定方法

サブリースのメリットは空室リスクをサブリース会社に負わせることができる
ということですが、一般のサブリース会社の契約形態は、

●満室の場合

家賃収入の85~90%程度。

●新築物件を一括で借り上げる場合

新築当初1ヶ月は一括借り上げ料率50%からスタートし、2ヶ月目は75%、3ヶ月
以降85%とだんだんと借り上げ料率が増額してくる

一括借上期間が10年であったとしても、1~3年程度で契約を見直ししていきます。

○サブリースに向かない物件

入居率の低い物件は一括転貸方式には不向きでしょう。

 

□『法人建物所有型方式』

最後に『法人建物所有型』方式ですが、これは個人が土地を所有し、法人が
建物を所有する方式です。

○個人と法人の契約形態と地代の設定

●賃貸借契約

法人と個人で地代を支払う土地の貸借契約を締結します。

土地のおおよそ固定資産税2倍~5倍の地代を法人に個人(オーナー)に支払い
ます。

固定資産税が毎年変わるため、地代の額も毎年見直します。

相続時の土地評価は「20%の評価減」の適用できます。

●使用貸借契約

法人と個人間で「土地の無償返還に関する届出書」を提出したうえで、地代を
低く設定した土地の貸借契約を締結します。

この場合、相続時の土地評価での評価減はなくなります。

相続開始までには相当の時間がある場合は、まず「使用貸借契約」として地代の
額を引く設定し、相続が近くなってから「賃貸借契約」に変更する方法も
あります。

すでに個人で建物を所有して、法人に建物を移す場合は、

●収益性の高い物件を移す

●建築後、相当年数が経っている中占物件を移す

●借入金のない物件を移す

時価の半分未満で個人が法人に建物を移した場合、みなし譲渡課税となり、
個人が時価で譲渡したものとみなされてしまい、個人に所得税がかかって
しまうので気を付けてください。

 

○結論

上記3つの中では最後の『法人建物所有型』が一番個人から法人へ利益を分散
することができます。

建物は法人、土地は個人で所有するのが税制上(特に相続税法上)一番効率の
よい不動産の持ち方となります。

次回以降は、相続税法上不動産を所有している場合の節税メリットと、不動産を
個人で所有しているオーナーが、大体いくらになったら法人を設立すべきか、
法人活用のメリット及びデメリットを分析していきます。