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所長コラム

不動産オーナーの節税対策 その3~会社を設立した場合の節税額

2015 年 2 月 3 日

最近のクライアントの社長からよく聞く悩みは、「人が採用できない!」と
いった人事問題です。

特に若い人材がいないといった悩みは、メーカーに限らず、サービス業まで
広範囲にわたります。

これは会計業界も同じ問題が起こってきています。

税理士試験は5科目合格で税理士となれる資格試験で、5科目トータルの
受験者数は7万人~7万5千人程度です。

それがこの5年間で9,000人近く減少し、6万5千人前後になってしまいました。

受験者が減ってきているということは、将来的に会計業界で働きたいという人が
減ってきているということです。

若い人たちに魅力がある職場と思えるような環境や業務を提供していかないと、
税理士業界自体の地盤沈下が避けられません。

当社もキャリアパスを会計事務所経験者だけでなく、未経験者でも社内で数ヵ月
研修期間を設けて入社できるようにしました。

早く会計業界で一人前になりたいといった未経験者にとっては魅力的な
プログラムだと思います。

会計業界で働きたい意欲ある人がいましたら当社まで是非ご連絡ください!

 

昨年の11月後半に「不動産オーナーの節税対策 その2 ~ 会社設立のメリット・
デメリット」を配信しました。

今回はその3回目として、個人で不動産を所有している人が会社を設立した場合、
どの程度節税できるのか、実際にシミュ―ションしていきます。

 

前提として現在の税制ですが、

資本金1億円以下の会社の実行税率(法人税+地方税)は

●課税所得 800万円までは25%

●課税所得 800万円超は39%

となっています。

 

また個人の超過累進税率(所得税+住民税)は

●課税所得 695万円超~900万円以下が33.483%

●課税所得 900万円超~1,800万円以下が43.693%

●課税所得 1,800万円超が50.84%

●平成27年分以後は、4,000万円超が55.495%

となっています。

 

ここからわかることは、

●個人の課税所得900万円超~1,800万円以下の部分(43.693%)
を会社の課税所得800万円まで(25%)に移転できれば有利

●個人の課税所得1,800万円超の部分(50.84%)
を会社に移転できればさらに有利

※平成27年分以後は、4,000万円超が55.945%になります

●不動産オーナーで超過累進税率の最高税率(50.84%)が適用される
課税所得1,800万円超となる個人が、会社活用のメリットがあります

※平成27年分以後は、4,000万円超が55.945%となります。

つまり個人の課税所得が1,800万円を超えて、2,000万円、3,000万円、5,000万円
と多くなるにつれて、税金計算上は会社活用のメリットが大きくなるということ
です。

 

より具体的なシミュレーションを行ってみます。

『不動産所得のみ2,000万円ほどあるAさんが会社を設立します。』

役員に奥さんが就任し、不動産所得を会社に分散して奥さんに役員報酬を
支払います。

会社の所得はほぼ0円として、7万円の均等割のみを会社の税金とします。

この場合Aさんの個人所得(不動産所得)にかかる税金は所得税・住民税合わせて
713万円です。

□Aさんの所得

●不動産所得 2,000万円

●所得税・住民税713万円

 

『次に、不動産所得を200万円ほど会社に分散し、奥さんの役員報酬とします。』

□Aさんの所得

●不動産所得 1,800万円

●所得税・住民税 614万円

□奥さんの所得

●役員報酬(給与所得)200万円

●奥さんの所得税・住民税 16万円

□会社の税金 7万円

会社設立前と比較すると、713万円‐(614万円+16万円+7万円)=△76万円
76万円ほどの節税となります。

 

『不動産所得を500万円ほど会社に分散して、奥さんの役員報酬とした場合は、』

□Aさんの所得

○不動産所得 1,500万円

○所得税・住民税 482万円

□奥さんの所得

●役員報酬(給与所得)500万円

●奥さんの所得税・住民税 53万円

□会社の税金 7万円

会社設立前と比較すると、713万円‐(482万円+53万円+7万円)=△171万円
171万円ほどの節税となります。

 

『不動産所得を800万円ほど会社に分散し、奥さんの役員報酬とした場合は、』

□Aさんの所得

○不動産所得 1,200万円

○所得税・住民税 351万円

□奥さんの所得

●役員報酬(給与所得)800万円

●奥さんの所得税・住民税 128万円

□会社の税金 7万円

会社設立前と比較すると、713万円‐(351万円+128万円+7万円)=△227万円
227万円ほどの節税となります。

 

『不動産所得を1,000万円ほど会社に分散し、奥さんの役員報酬とした場合は、』

□Aさんの所得

○不動産所得 1,000万円

○所得税・住民税 264万円

□奥さんの所得

●役員報酬(給与所得)1,000万円

●奥さんの所得税・住民税 184万円

□会社の税金 7万円

会社設立前と比較すると、713万円‐(264万円+184万円+7万円)=△258万円
258万円ほどの節税となります。

不動産所得1,000万円と給与所得1,000万円が同額なのに、給与所得にかかる
税金が少ないのは、給与所得控除というサラリーマン独自の控除額があるから
です。

実際には不動産所得にも経費が計上できますが、不動産にかかる経費で
認められるものは非常に少ないのが現実です。

今回のシミュレーションでは奥さんのみの役員報酬でしたが、これを複数の子供
を役員にし、役員報酬を出す場合は、複数分の給与取得控除が使えるので、
節税額もより大きくなります。

不明点がある場合はいつでもご連絡ください。