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Columnコラム

所長コラム

事業仕分け・・役所と民間のリストラクチャリング

2010 年 7 月 14 日

7月は某地方自治体の行政監査で九州に来ています。

その役所で行っている数百の事業を評価して、
民間と比較し無駄が無いかを指摘して回る作業です。

ちょうど民主党の蓮舫議員がテレビで国政官僚に対して
行っていた『事業仕分け』を地方行政レベルで行う感じでしょうか・・

昨今民間でもリストラの嵐が吹き荒れています。

最近は私たちもクライアントのお客様からリストラ前提の
資料作りを依頼されることも多いものです。

 

今日はちょっと後ろ向きの話になりますが、役所のリストラを通して、
民間でも使える指標とリストラの仕方をお話しします。

まず役所の部及び課の業務を全て切り出します。
(数は数百に上ることもあります。)

使用するメソッドは、「フルコスト計算書」といわれる様式です。

これを使って、各課に対して下記の事業の内容を書かせます。
http://www.city.onojo.fukuoka.jp/var/rev0/0006/0760/200912168463.pdf

 

1.事業概要『目的』『対象』『手段』『成果』
その事業がその自治体でどのような評価をされているかを記載します。

2.指標『活動指標』『成果指標』
前年度と比較して、その事業が活発に活動しているかを確認します。

3.行っている事業の『対象』と『メリット』
事業のターゲッティングが的をはずれていないかを確認します。

4.コスト評価
「財源」と「費用」に無理、無駄が無いか
全てのおカネの出入りを数字で検討します。

 

だいたい1事業あたり30分前後で対象の課が提出してきた
事業項目について検討していきます。

審査する部署は「行政改革課」及び「財政課」です。

民間で言うと、「経理・財務課」と「企画課」にあたる部署
となりますでしょうか。。

こうして事業のおカネの流れと作業内容にも手を突っ込んで
業務の無駄を省いていきます。

 

役所は民間と異なり、コスト意識が非常に低い組織です。

特に興味深いのは、人件費の考え方です。

たとえばサービス業だと、経営者は、従業員に対して「給与の3倍」は
売上高を挙げるようはっぱをかけることが多いと思います。

しかし、役所では自分たちの人件費がコストになっている
という考え方が全くないのです。

また人事評価もほぼ年功序列で、功績が給与や賞与に
反映するという考え方もほぼありません。

確かに民間の成果主義も行き過ぎるとどうかと思いますが、
功績に対する評価がごくわずかでは優秀な人がいなくなってしまいます。

 

人件費に関しては、極端な話になってしまいましたが、自分の事業を、
別の視点から見直すことで無駄を省いていく手法は民間でも十分に
使える方法です。

ただ一番怖いのは、納得ずくで、該当部署の人・もの・カネを
減らさないと社内の士気が下がってしまうことです。

自分の業務に他人から手を突っ込まれることは、自分を否定
されていると感じるようで、その抵抗は激しいものになります。

うまくコンサルタントという外部の力を使うことで社内のガス抜きをしながら、
限られたリソースをもっとも重要な業務に振り向けていくことは、どの会社
でも重要です。

事業仕分けを行うことで今お伺いしている自治体は
約4億円の経費を削減できました。

 

万一社長の目から見て自分の会社に無駄があるという
不安がある場合は御相談ください。