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Columnコラム

所長コラム

事業承継~清算とM&Aはどちらが節税になるでしょうか

2012 年 9 月 3 日

このたび私事ですが、娘が産まれました。

20時間近い難産でしたが、母子共に健康です。

私の誕生日に区役所で出生届を出してきました。

娘の名前が私の戸籍に入る・・

こうして家族は出来ていくものと不思議な感じがしました。

産まれたばかりの幼い娘ですが、成人するまで見守っていきたい
と思います。

また、大事な子供を産んでくれた妻にも感謝の気持ちでいっぱいです。

これからは、今まで以上に仕事にも打ち込めそうです。

 

さて、

今日は、優良な中小企業の事業承継を行う上で、ポイントとなる点を
お話ししていきます。

オーナーが高齢になり、自身の会社の先行きを考えた場合、
以下の様に選択されているようです。

 

〇オーナーの子息に株を譲りたい・・

中小企業で事業承継を行う場合、まず「自分の子ども」を後継者と
する場合がほとんどです。

 

〇オーナー以外の経営陣(親族)、もしくは従業員に株を譲りたい・・

自分の子供が会社を継いでくれない場合、「オーナー以外の経営陣(親族)、
もしくは従業員」の中から承継してくれるかどうか検討します。

 

〇清算をする・・

社歴が長いほど、他人に会社を譲渡することが忍びなく、清算を
考える方が多いようです。

 

〇会社の売却をする・・

身近に会社の現状を理解してくれる第3者がいる場合、
売却に至っているようです。

 

しかし、優良な会社であればあるほど、高株価のため、自社株を
従業員や経営陣へ譲渡することは困難です

また、やっとの思いで清算を考えたとしても、清算には多額の税金が
かかります。

 

税務上は、
「清算」ではなく「売却」する方にメリットがあります。

 

例えば、以下の会社の場合は、今までの会社の儲けの累積が1,000円と
なっています。

●資産1,300/負 債 200

      /剰余金1,000

      /資本金 100

この会社の株式を「売却」する場合と、会社を「清算」する場合の
税額を比較してみます。

 

〇株式売却の場合

会社の株式をオーナーが他人(個人もしくは会社)に売却した場合は、
この1,000円は『譲渡所得』となります。

『譲渡所得』は「分離課税」となるため、不動産の売買と同じで
他の所得と合算されません。

住民税も含めて税率は20%のため、1,000円に20%課税のみとなります。

1,000円×20%=200円・・・税額

1,000円-200円=800円・・・手取額

加えて他の株式の損失がある場合には合算して『譲渡所得』を
相殺することも可能です。

 

これに対して

〇会社清算の場合

会社を「清算」した場合は、この1,000円は『配当所得』となります。

『配当所得』は「総合課税」となるため、給料や、不動産所得等と
合算して課税されます。

累進課税のため、合算した所得が高額な場合は、住民税を含めると
50%を超える場合もあります。

1,000円×50%=500円・・・税額

1,000円-500円=500円・・・手取額

 

このため、「株式売却」と「「会社清算」の税金を比較してみると

〇株式売却・・・手取額800円

〇会社清算・・・手取額500円

となり、差額は300円、すなわち30%もの税率の差がでてくる可能性が
あります。

最近、は先日講演した東京商工会議所の様に、中小企業のM&Aを専門に扱う
組織も出てきており、買い手は非常に探しやすくなってきています。

また「株式売却」すなわち「会社の譲渡」は、従業員の雇用も確保されます。

 

今まで築いてきた組織と技術を後世に伝えていく事は非常に需要な事です。

少しでも可能性がある場合は、「会社清算」を選択せず、「株式売却」を
選んでほしいと思います。

※23年の税制改正で清算(解散)は「財産法」から「損益法」に改正されて
います。

ただ、欠損金の問題を除くと、税額は原則同じとなるため、今回は敢えて
「財産法」の考え方で比較しています。

事業承継で不明な点、お困りの点がありましたら、いつでも声をおかけ
ください。