Columnコラム
国税通則法(国税の時効他)について
2011 年 6 月 16 日半年以上のクライアントの税務調査が先月ようやく終わりました。
今回の調査は私が手掛けた調査の中でも異例のもので、
かなり厳しい交渉となりました。
〇今回が初めての税務調査
〇仮装・隠蔽という重加算税対象の処理をしていない
〇社長本人も自身で私腹を肥やす等の脱税に関わる意図は全くない
上記の3つが全て該当するにもかかわらず、他の否認項目の代わりに
重加算税を付加しようとしてきました。
若く、非常に優秀な社長なのですが、取引先の「支援」と「取引」を
一緒にしてしまい、税務上のトラブルとなってしまいました。
重加算税を付加された場合は、ベンチャーキャピタル等の社外からの
投資はまず望めません。
また税務署員は自分たちが行う処理で、会社に対して実務上どのような
影響がでるのか、全く理解していません。
今回はクライアントが他社からの投資を今後望むため、「重加算税」の
付加は絶対に受け入れられず、かつ納税額も少なくしてほしいとの
要望だったため、落とし所に苦心した交渉でした。
税務調査の交渉は、会社の今後の方向性も全て加味したうえで
行うべきだと思っています。
交渉を重ね、一時は怒鳴り合いに近い話し合いになりましたが、
最終的に本来支払うべき税額の「5分の1」から「10分の1」程度に
税額も減少しました。
成長する企業はおカネがいくらあっても足りないものです。
税務署を納得させ、クライアントに対しても影響を最小限に抑える事が
できたと自負できる調査だったと思います。
と、上記の様なことが無いまでも、会社を経営している限り、
税務署が一度は調査に来る経験をしているはずです。
是認(納税が”0円”)であれば、申し分ないですが、通常はいくらか
税金を持っていかれる事が多いと思います。
ようやく調査が終了し、講評で納税額が決まった。
この時「この「本税(本来納付すべき国税)」に「延滞税」と「加算税」が
ついて・・いくら程度になります」という話を聞いたことがありませんか。
調査に疲れ果てて、少々の税額がかさむ位どうでもいいよ。
となっているかもしれません。
税務調査は原則は7年前までの調査を行うことができますが、
一般的には3年から5年遡る程度です。
しかし、この「本税」に加えて支払う「附帯税(利息他)」を考えると
馬鹿にならない金額になってしまいます。
今日お話する「国税通則法」とは税金の納付や徴収などを体系的に
構成している法律で、税務調査時の利息も推測できます。
専門家でも余り深く確認してない部分です。
この中で、納税者が税務署に対して知っているとメリットがある部分を
ピックアップしてお話しします。
1.「附帯税」とはどのようなものでしょうか?
いずれも行政上の制裁金としての性格を持ちます。
本来支払うべき国税(本税)に加えて支払うことになります。
〇延滞税(年)
期限内に税金を納めない場合
●7.3%(2ヵ月以内)→ 公定歩合+4%(平成11年以後)
●14.6%(2ヵ月経過後)
〇利子税(年)
延納が認められた税金に係るもの
●所得税・法人税 7.3% → 公定歩合+4%(平成11年以後)
●相続税・贈与税 6.6%
〇加算税(年)
措置の意味合いがある(加算税には延滞税はかからない)
●過少申告加算税
納税額が少ないと修正申告に応じた場合・・10%(本税の)
●無申告加算税
申告期限までに申告書を提出しなかった場合・・ 15%(本税の)
●不納付加算税(源泉税)
納付期限までに源泉税を納めなかった場合・・ 10%
●重加算税
隠蔽・仮装の事実がある場合
・35% (過少申告加算税に代えて)
・40% (無申告加算税に代えて)
・35% (不納付加算税に代えて)
特に「重加算税」は税務調査官の人事考課に大きく影響するので
税務署はとりたがりますが、企業にとってもコンプライアンス違反を
行っていたとされてしまうので、影響が大きい「附帯税」です。
2.上記の税金が「免除」される場合がありますか。
〇延滞税の免除
●税金を免除しないと事業・生活の維持が困難な場合
●財産の差し押さえ・担保提供を国にした時
(延滞税が2分の1)
●納税の猶予を行ったとき
〇利子税の免除
●災害により期限の延長の場合
「本税」以外の「延滞税」の「免除」は状況によっては
応じてもらえます。どんどん交渉すべきだと思います。
3.税金に「時効」はあるのでしょうか。
〇国税の時効
法律上定められた納付の期限から「5年間」が経つと国税は時効
となります。
国の債権だからと言っていつまでも徴収できるわけでは
ありません。
〇滞納処分の停止
納税者が生活できなくなるような徴収は認められていません。
そのため、徴収を停止せざるをえなくなった時から「3年」経過した
時点で国税は消滅します。
意外と「国税の時効」は知られていないものです。
これも税務調査時の交渉ポイントになる場合もあります。
4.税金を取り戻すことはできますか。(更正の請求)
納税者が税務署長に対して過大に支払ってしまった税金の取り戻しを
行うことです。
申告期限(決算期ではない)から「1年以内」であれば、更正の請求が
できます。
まだ実現はしていませんが、23年度の税制改正で更正の請求期間が
「5年に延長」になりそうです。
全て原則で記載しているため、詳細では割合が異なっている場合も
あります。
不明又は疑問点があればご連絡ください。