LAMTIP PARTNERS Co., Ltd.

Columnコラム

所長コラム

国税通則法(税務調査に納得がいかなかった場合)について

2011 年 7 月 5 日

先日アクアラインのトンネルの中で、自動車6台の玉突き事故に
巻き込まれてしまいました。

私は4台目で辛うじて止まったのですが、5台目と6台目が
追突して来たため、車は全損してしまいました。

私は幸いな事に怪我は無かったのですが、同乗していた妻はむち打ちに
なってしまい、未だに病院に通院しています。

100%の無過失のため、人身事故、物損事故共に保険会社との交渉は
簡単に終わると思っていたのですが、今に至っても謝罪も補償も何も
始まりません。

理由は、5台目、6台目の保険会社が責任のなすり合いを始めてしまい、
いずれも対応してくれないのです。

どちらの会社でも構わないから窓口になってくれと言っても、
相手にしてもらえません。

挙げ句の果ては、弁護士をたてるなら対応するとの事です。

弁護士特約をつけていたため一安心ですが、保険会社の対応は
目に余るものがあります。

今後弁護士と共に交渉していきますが、有益な情報があれば
またご報告します。

いつ巻き込まれるか分からない自動車事故には、皆さんもくれぐれも
お気をつけください。

 

さて

税務調査をされて、税務署からの指摘事項にどうにも納得いかない
と思ったことがある方はかなり多いのではないでしょうか。

ただ、税務調査を受けている時のストレスは納税者しか理解できない
ものがあります。

満足していないが、調査を早く終わらせることができるのなら・・
とついつい手打ちをしてしまう事もあるかと思います。

しかし今日は、幾ら時間がかかっても良い!税務署の方針は
納得いかないから争う!と決めた納税者のためのお話です。

税務署の調査が納得いかずに修正申告書を出さなかった場合、
どのような手続きが続いていくのでしょうか。

税務調査は、所轄の税務署か、若しくは資本金が1億円を超える企業に
ついては、国税庁が担当になります。

まずどこで争うことになるかというと、「行政救済」と言われる
「不服審査(税務署の異議審理庁と国税不服審判所)」でまず審議し、
次に「司法救済」と言われる「訴訟」と続きます。

いきなり国を相手取り、裁判をすることはできません。

必ず不服審査を経て、それでも納得がいかない時に始めて訴訟を
行うことになります。

 

1.不服審査について

〇税務署・国税庁に対して行なう「異議申立て」

「異議申立て」とは、税務署の処分について不服がある場合に、
処分の取消しや、変更を求めることを言います。

●異議申立て

税務署の処分に対して、2ヶ月以内に「異議申立書」を
提出することできます。

それに対して税務署は、「申し立て」がおかしいとする場合は、
これを「却下」してきます。

●異議審理庁の審理

「申し立て」が適法な場合は「異議審理庁」は、
調査と審査を行います。

●異議決定

「異議審理庁」で審理を行い、「申し立て」の理由がもっともで
あると判断されると、税務署の見解がひっくり返ります。

逆の場合は「棄却」されてしまいます。

 

異議審理庁の見解に納得いかない!と思った場合は、次に「国税不服
審判所」の審査に進みます。

〇「国税不服審判所」に対して行う「審査請求」

「審査請求」とは、「異議審理庁」の異議決定がおかしいと思った
場合に不服を申し立てる事を言います。

●審査請求

「異議審理庁」の処分に対して、1ヶ月以内に「審査請求書」を
提出する事ができます。

●国税不服審判所の審理

税務署は「答弁書」により処分の主張を行ないます。
これに対して、納税者は「反論書」で相手を論破しなければ
なりません。

●裁決

国税不服審判所長は、審査請求がもっともである場合は、
処分を取り消し、逆の場合は「棄却」します。

 

「国税不服審判所」の判断が納得いかない場合は、国を相手取り
裁判を行うことになります。

 

2.訴訟について

●訴訟提起

国を相手取って訴訟を起こす場合は、上記の通り「異議審理庁」と
「国税不服審判所」の二つの手続きを踏まえた上でないと、
問題提起できません。

●期間

国税不服審判所の裁決から6ヶ月以内に裁判所に訴える事ができます。

この裁判によりようやく最終的な結論にたどりつくことになります。

 

先日の最高裁での武富士の追徴課税1,330億円の取り消し判決は記憶に
新しいところです。

税務署の見解が必ずしも正しいわけではありません。

税務署の言い分がおかしいと感じた時は、きちんと判例、条文に
照らして反論していくべきだと思います。