Columnコラム
役員退職金について~節税の大きなポイントです!
2011 年 11 月 22 日先日私の大学の同窓の方とラウンドをご一緒させて頂きました。
皆さん非常に優秀な方々で、大企業の管理職、ご自分で会社を
興されている方、国政に参加されている方とジャンルは様々でしたが
充実したキャリアを積まれておられました。
また大学の体育会に所属している方が大多数であったため、上下関係に
厳しくされている(であろう(笑))方が多く、非常に緊張しながら、
ラウンドさせて頂きました。
しかも、なんと今回は、コンペ中『最年少』!でした。
通常は私も既に中年のおじさんであるにも関わらず、大学の
後輩ということで、丁寧に指導していただき、非常に感激
しながらのラウンドとなりました。
この歳になり、また会計事務所の代表をしていると、コンペでも年齢が
一番下ということは最近はほぼありません。
年齢や、組織内での序列が上がるにつれて、「目配り」しなければ
ならないことが増えてきます。
年下で上司に気を遣っていた時代とは、まったく異なる「気遣い」を
しなければならなくなります。
それは、組織内での「判断」や、「裁定」、つまり自分の一挙手一投足が
組織の全員に影響を与えるというプレッシャーです。
これは、中小の経営者はもとより、ある程度の組織で管理を
任されている方は必ず経験していると思います。
新入社員の時は、上司や目上の方への気遣いが大変と感じましたが、
組織を束ねる経営者や管理に携わる方のプレッシャーと比較すると
全く問題にもなりません。
今回は久しぶりに、全て先輩任せでラウンドさせて頂き、新人の頃が
気楽だった(笑)事を思い出した一日となりました。
諸先輩方ありがとうございました(笑)
今回は「役員に対する退職金」について今日は再度確認してみたいと
思います。
日本の税法上「役員退職金」は、法人及び個人の課税に関して
規模的にも非常に大きいインパクトがあります。
平成18年度までは、以下の4つの要件を満たしている事業年度以外の
「役員退職金」の損金経理(経費計上)は認められませんでした。
『平成18年度まで』
●株主総会の決議等
●実際に退職している
●金額が合理的に算定できる(役員退職金規定)
●損金経理(帳簿上退職金として計上する)
「役員退職金」は金額が大きい支出となるため、恣意性が無い様
経費計上に関してはかなり厳格な規定となっていました。
そのため、実態を無視した運用により、泣かされてきた中小企業は
多いと思います。
今まで「役員退職金」として計上できなかった例を挙げてみると、
▼病気などで株主総会決議の前の事業年度で退職し、その退職時に
仮払金(退職金)を支給した場合
事業年度末ぎりぎりに突発的に病気で退職してしまい、
株主総会決議が間に合わなかった・・・という場合は
退職金の経費計上ができませんでした。
▼株主総会の決議により、退職金額を定めたが、資金繰り等により
実際の支払いをせず、翌期に「退職金」を支払った(損金経理)。
中小企業には良くありますが、資金繰りが厳しくて、退職した
事業年度には退職金が払えなかった・・・しかし翌期は改善し
支払うだけの余裕ができた・・・
この場合も「退職金」の経費計上ができませんでした。
しかし、平成18年度以降は、「役員退職金」の損金経理時期
(経費計上時期)は原則と例外にわかれ、非常にフレキシブルな
扱いとなっています。
『平成18年度以降』
以下の条件を満たしていれば、「役員退職金」として経費計上
できる事になりました。
〇原則
●株主総会の決議等
●実際に退職している
●金額が合理的に算定できる(役員退職金規定)
〇例外
●退職金を実際に支払う
●損金経理(帳簿上退職金として計上する)
一番大事なことは、退職した事業年度で損金経理(帳簿上
「役員退職金」として計上)していなくても、実際にキャッシュを
支払えば、「役員退職金」として経費計上できるということです。
今までは、泣く泣くおカネが無いために退職金を計上ができなかったり、
退職時期をずらしたこともありましたが、株主総会で決議さえして
おけば、今後は大丈夫だということです。
これは中小企業にとって「役員退職金」という非常に大きな経費を計上
できるツールを有益に使用できるという点で、画期的な改正だと
思います。
法人税法上、「退職金」の損金計上による、自社株価下落の影響は
大変重要です。
また、所得税法上も退職所得は税金が一番軽減されている所得です。
平成18年度の改正ですが、意外と認識されていません。
役員の方の退職が間近の会社では、是非この規定を確認してみて
くださいね。