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Columnコラム

所長コラム

所得税~教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について

2013 年 7 月 24 日

最近の日本の真夏の日差しの中、クライアントに御伺いするため歩いていると
まるで熱帯地方にいるように錯覚する時があります。

というわけで?は無いのですが、9月9日にタイに子会社を設立することに
なりました。

3年程前から東南アジアの情報を集め始めて、香港・シンガポール・タイの
いずれかにと絞ってはいましたが、今回縁あってバンコクに進出することに
なりました。

東南アジアは今までと異なり、ようやく日本の商品やサービスに対して
お金を払える中間所得層が厚みを増して来ています。

そして、メードインジャパンのブランドは、東南アジアでは高い人気を
保っています。

日本では過当競争で価格競争しかないマーケットでも、場所が変われば
十分利益が出るのです。

中小企業の皆さんが生き残りをかけて必死に海外に進出しているのに
日本の会計業界の対応はどうでしょうか?

少しでもクライアントの立場に立ってサポートを行うのであれば、自身が
率先して海外に飛び込んでみる気概が必要だと思います。

その経験の中で生きたノウハウを提案していく事が、真のサポートだと
考えています。

今後少しずつになりますが、東南アジアの生きた情報をお届けして参ります。

ご期待ください!

 

先月の日経新聞によると、信託大手4行の『教育資金の一括贈与』申込額は
4月の取り扱い開始から2ヶ月半で1000億円を突破、申込件数は
約1万5千件に達しているとのことです。

かなりの反響を呼んでいる『教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置』
ですが、具体的な詳細はこれから公表ということになっていました。

最近になって文部省からも、ようやく具体的な内容がUPされ始めましたので、
今回はより噛み砕いてご報告していきたいと思います。

概略は以前のバックナンバーでもご紹介しましたが、
【25年税制改正について~その1 所得税、相続・贈与税の注意点】
所長コラム2013/04/22

 

まず、制度の概要ですが、改めて確認すると、

〇平成25年4月1日から27年12月31日まで

〇「両親や祖父母」から「30歳未満の子や孫(養子もOK)」に金銭等を贈与

〇「金融機関等と教育資金管理契約」を結ぶ

〇教育資金として「1,500万円」(学校以外の支払に対しては「500万円」)
まで税金がかからない

制度です。

 

そして、

〇子や孫が死亡した場合

〇子や孫が30歳に到達した場合

〇教育資金管理口座の残高がゼロになった場合

いずれかの場合に「金融機関等と教育資金管理契約」が終了します。

 

この「管理契約の終了時」において、学校等や習い事といった教育費に
充てられていなかった金額や口座に残っている金額は、贈与税の
課税対象となります。

いままでも、もちろん両親や祖父母等から生活費や教育費をもらった
場合に税金はかかりませんでしたが、それは必要の都度もらったものに
限られていました。

 

今回の制度では、将来の教育費も含めて「1,500万円」までであれば、
一度に贈与できて税金もかからない、その経済効果を見込んでこの制度が
創設されています。

まず「契約終了に関わる注意点」ですが、

〇「両親や祖父母」が死んでも「教育資金管理契約」は終了しません。

〇「教育資金に使わなかった金額」に税金がかかりますが、子や孫が死亡した

事で契約が終了した場合は、残高に税金はかかりません。

〇使いきる見込みがないため,余った金額を「両親または祖父後」に返した
場合でも「返還した金額」に税金がかかってしまいます。

使い切れる金額を贈与しなければいけませんね。

 

また良く勘違いされているのが、税金がかからないのは、「子や孫1人につき
1,500万円」までです。これを超えた場合は、贈与税が課されます。

逆に祖父母にとっては、子供が2人で孫が4人いれば、計6人に「1,500万円」
ずつ贈与すると、合計で9,000万円の贈与が可能となります。

相続課税資産を減らす選択肢(節税対策)になりえる制度ですね。

では「1,500万円」の「教育資金」ですが、
あくまで「学校等に「直接」支払われる金銭」の事を指します。

塾や習い事など「学校以外の業者に支払われる費用」は「500万円」まで
税金がかかりません。

 

では対象となる「学校等」はどの範囲を含めるのかというと、

〇学校教育法上の大学、高校など

〇こども園や保育園

〇インターナショナルスクールの様な国際認証機関に認定された学校

を言います。

(詳細はhttp://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/1332772.htm

 

例えば、留学する時の渡航費や滞在費を「学校に直接」支払うのであれば、
「1,500万円の教育資金」に該当します。

また学校の指示のもと「業者」に支払う場合は、「500万円」の枠に該当して
きます。

全く学校が関与しない場合は、すべてに税金がかかるといった具合です。

贈与の仕方にもいくつか方法があり、その方法ごとに「金融機関の口座に
預入」をする必要があります。

 

〇信託銀行と契約して子や孫が受益権を取得する方法

●いわゆるみなし贈与です。

●信託の運用益には課税されます。

 

〇贈与を受けた金銭を銀行に預け入れる方法

●子や孫が金銭をもらってから2月以内に預金等として預け入れをする必要
があります。

●金銭による贈与の場合は書面で行うことが必要です。

●銀行利子には課税されます。

 

〇贈与を受けた金銭で有価証券を取得し、その売却金額を教育資金とする方法

●有価証券を取得する場合は,金銭による贈与を受けてから2月以内に
有価証券を購入する必要があります。

●有価証券の売却益には課税され、売却損が出た場合は教育資金以外に
使ったとみなされます。

ハイリスク・ハイリターンの方法ですね。

 

具体的な条件は税務署、もしくは文部省に確認しながら行う方が良いと
思います。

不明な場合は事務所からも問い合わせますのでご連絡ください。