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Columnコラム

所長コラム

東南アジアの税制~インドネシアの税制

2014 年 5 月 13 日

セミナーの告知なのですが、5月15日丸ノ内のJPタワーで夜の19時から
「税理士と弁護士が解決!新相続税制セミナー/サラリーマン初級編」を
開催することとなりました。

 

平成27年1月から東京に土地を持っているだけで相続税の課税対象となる
可能性がある税制改正が行われました。

自分とは関係ないと思っていた相続税が今身近に迫ってきています。

そのための対策を法律と税金の視点から対策を立てていきます。

無料で相続税の納税シミュレーションも行いますので是非ご参加くださいね!

 

さて2013年4月になりますが、以前インドネシアの会社の設立について
所長コラム2013/04/05
お話したことがありました。

 

タイに事務所があると東南アジアの税制の情報も入って来ます。

そこで今回はインドネシアの税制についてお話ししていきます。

 

□インドネシアの税制

インドネシアの租税体系は主に国税「個人所得税」、「法人所得税」、
「付加価値税(PPN)」、「奢侈品(贅沢品)販売税」がメインであり、日本の
「事業税」、「住民税」、「相続税」、「贈与税」に該当する税制はありません。

まず「法人所得税」は一律25%で、予定納税制度が採用され、前年度納めた
法人税額の12分の1を毎月分割で前払いしていきます。

また予定納税金額は前年度実績に基いて決定されますが、予定納税額が
確定税額を下回ってしまった場合は税務調査が行われ、一旦納めた税金は
簡単には還付されないようです。

次に「付加価値税」は原則10%であり、対象はインドネシア国内において、
「付加価値税登録事業者」が行う物品の販売またはサービスの提供に対して
課税されます。

日本と同様最終負担者である消費者が付加価値税を納めます。

インドネシアでは、日本と同じで支払いは「付加価値税」を含んだ金額で
支払いを行います。

その後「預り分のPPN(日本の借受消費税)」が「支払分のPPN(日本の
仮払消費税)」を下回ってしまった場合、還付請求を行います。

ただ実際の還付に当たっては還付請求をしてから12ヶ月以内に税務調査が
確実に行われるため、必ずしも全額が還付されるとは限りませんし、
還付されるとしてもタイムリーに還付されないこともあります。

一度納めた税金を還付させるには相当のエネルギーが必要です(苦)。

「奢移品販売税」(贅沢品を販売するときに課される税金)は現行税率
10%~200%であり、インドネシア国内の課税地域で贅沢品を製造もしくは
輸入する企業が、贅沢品を引き渡した時に1回だけ課税され、それ以降の
流通段階においては課税されません。

「個人所得税」は、所得によって税率が異なる累進税率が適用され、
最高税率は30%となっており、国外源泉課税所得も含め全世界所得が課税の
対象です。

インドネシアに住んでいない非居住者の給与所得に対しては、20%の税率で
課税されます。

ただインドネシア滞在日数が暦年で183日を超えない場合には、インドネシア
国内源泉所得は課されません。

租税条約にもよりますが、半年未満で居住地と国(会社)を変えていく場合は
どの国にも税金を納めなくても良いということになる場合もあります(苦笑)。

 

□インドネシアのM&A

インドネシアで中小企業が事業を行う際の組織形態は、

 

〇株式会社(コーポレーション)

日本と同じく株主とは別の法人格となります。

 

〇パートナーシップ

パートナーシップは、会計士や弁護士のような専門家がビジネスを行う際の
組織として利用されます。

パートナーシップは独自の組織として課税され、非居住者はパートナーシップを
利用できません。

外国人がインドネシアの会社を買収する場合は、会社の事業活動計画が
インドネシア国外からの投資を制限する条項に抵触していない場合に限り
認められます。

投資を制限するこれらの事業は「投資ネガティブ・リスト」として呼ばれるものに
掲げられており、国外投資家はインドネシアでの会社の買収に着手する前に
投資を検討している業界の投資規制を調査するべきです。

外国人はインドネシアの会社の持分の100%を保有することができますが、
二人またはそれ以上の株主が株主になることが求められており、15年以内に
少なくとも資本の一部は外国人からインドネシアの居住者への譲渡することが
求められています。

インドネシアにおいて投資あるいは組織再編で利用することができる手法は、
ほぼ日本と同様で、以下の手法を利用することができます。

●合併

●株式譲渡

●増資

●事業譲渡

●会社分割

基本的に「合併」や「会社分割」では権利・義務は承継され、「事業譲渡」に
おいては承継されないことにはなりますが、特に「会社分割」はまだ法律が
整備されていません。

「合併」については、原則資産の移転は時価(市場価格)で会計処理する必要が
ありますが、適格合併については資産の帳簿価額による移転が認められています。

この場合日本と同様移転に伴う利益や損失は発生しません。

インドネシアで中小企業が買収を行う場合の一般的な手法は株式買収(譲渡)と
資産買収(譲渡)のいずれかになります。

 

〇株式買収(譲渡)

会社の株主が変わっても、減価償却総額や繰越欠損金に影響はなく、
買収価格を反映する評価替えや資産価額の増額についての規定もありません。
株式譲渡による企業支配や事業の継続性に関する要件がないため、欠損会社の
買収によって欠損金の利用を行うことができ、これは日本では無くなった大きな
節税メリットです。

ただ買収された会社の未払税金や簿外債務はそのまま会社に残るため、
買い手は売り手に対して瑕疵担保を得るべきです。

外国企業によるインドネシアの未上場会社の株式譲渡については、売手企業の
譲渡収入に対して5%の源泉税が課されます。

インドネシア法人による未上場会社の株式譲渡に係るキャピタルゲインは、
所得として取扱われ通常の法人税率が適用されます。

 

〇資産買収

資産の買収・移転は、さまざまな政府機関の承認事項となるため、
資産買収は現存する国内子会社か新しくインドネシアに設立された会社を
通して行われます。

資産買収においては税務上、資産を時価で計上する必要があります。

また関係会社間の取引においては、買収時点の市場価格を算定するために
資産の鑑定評価が必要となる場合もあります。

結論として、買収対象会社の未開示の債務(例えば租税債務)は売り手側に残る
ため、資産買収の手法を選択すべきと思われますが、売り手は通常株式譲渡の
方法を好むため、いずれを選択するかは両社の力関係となっています。

 

□最新インドネシア情勢

インドネシア政府は、「中小企業の課税に関する政府令」を発令し、以下の
ような年間売上高48億ルピアまでの小企業・個人に対して、ファイナルタックス
として、毎月売上高の1%を所得税(法人・個人)として課税することにしました。

この対象は個人・法人いずれにも課税されます。

納税者はある年の損失を別の年の利益と相殺することはできません。

また2014年1月1日より、中小企業に係る付加価値税(日本の消費税)基準は、
48億ルピアに引き上げられました。

すなわち年間売上高が48億ルピア末満の中小企業は、付加価値税の
課税対象会社となる必要がありません。

そのため事業年度中のある月に、売上高が新たな基準である48億ルピア/
年間に達した企業は、翌月までに課税対象会社として申請しなければ
なりません。

一方課税対象会社として登録されており、かつ年間売上高が新たな基準を
下回っている企業は、課税対象会社を取り消す申請が必要です。

従来の6億インドネシアルピアの基準に置き換えられるこの新たな基準は、
中小企業に係る「法人所得税」に関連して、48億ルピア未満の総所得に対して
1%の最終所得税が適用されることを考慮したものとなっています。

不明点やもっと知りたい事項がありましたらいつでもご連絡ください。