Columnコラム
株式売却時の節税対策~みなし取得費の特例年内終了
2010 年 8 月 17 日先月の福岡出張からようやく帰京しました。
暑い九州から喜んで帰ってきたものの、東京は九州より
かえって蒸し暑く、すでに夏バテが始まりました。
関東は夏バテにはウナギですが、九州では屋台で「モツ焼き」を
頬張っています。
関東では見かけないトリや豚のモツですがかなりいけました(笑)
なにとぞ元気に暑い夏をお過ごしください。
今日は、まだ今しばらく時間はありますが、今年中に行えば
かなりの節税になる証券税制のお話をします。
今から10年前弱になりますが、平成13年9月30日(2001年9月30日)
以前からずっと手元においてある株式はありますでしょうか?
今回、平成22年12月31日までに平成13年9月30日以前に取得した
株式を売却すると、多額の節税ができる可能性があります。
●「相続や贈与などによって株式を持ってしまい、株式の電子化
の時も必要な手続きを取らなかった方」
●「証券口座に置いたままで売買していない株式を持っている方」
が対象となります。
証券取引上、上場株式の納税額は
売買損益=株式売却価額(a)-株式取得価額(b)
納税額=売買益×10%(平成23年まで10%)
株式売却価額(a)は今回売却した証券会社の「取引報告書」から
把握できます。
しかし、取得した時期が昔だと株式取得価額(b)を忘れてしまった!
という方が多いかもしれません。
株式取得価額(b)が不明な場合の確認の仕方としては、
1.取引報告書
証券会社から送られてくる取引残高報告書で把握
2.顧客勘定元帳
証券会社に問い合わせて取引情報把握
(過去10年の記録は証券会社に保管されている)
3.メモなど資料
過去の日記帳・預金通帳・メモ書きなどで把握
(取得の月しかわからない場合はその月の取得価額の平均)
4.名義書換の書類
株主名簿を補完する発行会社や信託銀行に「株式移動証明書」
など名義書換の日付を把握
上記の4つがあります。
また非常に不利な方法ですが、株式売却価額(a)の5%を
株式取得価額(b)(「概算経費」という)とすることもできます。
ところが、平成22年12月31日までは、取得価額が不明な場合
「平成13年10月1日(2001年10月1日)の証券取引所の終値の
80%の金額」を株式取得価額(b)とすることができるのです。
『みなし取得価額の特例』(国税庁のHPより)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/kabushikijoto/kabuka/01.htm
ちなみにソニーの株式で比較すると
株式の売却価額は253,900円とします。
(100株、@2,539円、平成22年7月27日)
次に取得価額ですが、『みなし取得費』が使える今年の年末までと、
来年の場合と比較してみます。
●『みなし取得費』 328,000円
=410,000円(100株@4,100円;平成13年10月1日)×80%
●『概算経費』 12,695円
=253,900円(100株@2,539円;平成22年7月27日)×5%
平成22年内に『みなし取得費』を用いて売却
253,900円(売却価額)-328,000円(みなし取得費)=△74,100円
税額=売却益が出ないため税金がかからない=0
平成23年に『概算経費』を用いて売却
253,900円(売却価額)-12,695円(概算経費)=241,205円
税額=241,205×10%=24,120円
このように多額の納税となってしまいます。
特に株価が不明な株式を相続などで取得している方は今回の
「みなし取得価額の特例」はかなりの節税になる可能性が高いです。
是非一度確認をしてみてください。