Columnコラム
法人税の節税対策~自社株式評価の下げ方 その2 一般社団法人
2015 年 1 月 6 日明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
当社は神田明神を毎年お参りし、事務所の皆が年頭の目標達成ができる事を
お祈りしていますが、最近ちょっと気がかりなことが。
この5年神田明神の参拝者に対する祈祷の時間がだんだん短くなってきています。
以前は社員全員が本殿の中で宮司の祈祷を聞き、代表の私も玉串を捧げ、神前に
起立して「二拝二拍手一拝」の作法でお参りができました。
ところが今年は社員全員が本殿の中で祈祷を聞くことができず、参拝者の私自身も
今年は玉串もなく、起立どころか、座ったままでの「二拝二拍手一拝」です。
最近の神田明神は参拝客の多さが話題になるくらいなので、神社側も対処の仕方を
考えての上でと思いますが、それにしても。。
同じサービス業(笑)として効率的すぎるのもいかがなものか、と利用者目線で
考えてしまいました。
やはり自身の効率を追求するより、お客様の満足度を前提にサービスを構築
しないと最後にはお客様は離れて行ってしまう。。
正直来年神田明神に参拝するか考えているところです(苦笑)。
さて今年最初の論題は昨年の「自社株式評価の下げ方 その2」として、
『一般社団法人』を使って含み損を実現させる方法を取り上げます。
平成22年以前であれば、バブル期に含み損を抱えてしまった土地をグループ
企業に売却することで損失を出すことが可能でした。
しかし現在はできなくなっています。
これはグループ税制が平成22年に創設されたためです。
グループ税制とは、近年法人が単体よりグループで運営されている実態を踏まえ、
法人を単体としてではなく、一定の条件下ではグループ全体を一つの法人と
みなして、グループ法人税制を強制適用する制度です。
この一定の条件とは「100%完全支配関係」といって、法人・個人にかかわらず、
間接であれ、直接であれ100%同族で株式を所有していることを指しています。
また「個人」とは、6親等の血族・3親等の姻族・配偶者・事実上の婚姻関係に
あるもの、とほとんど全ての近親者が網羅されています。
この場合「単体の法人間の取引」と「グループの法人間の取引」がどのように
異なるかというと、
●配当金
100%グループ企業から配当金をもらった場合は収益となりません。
●寄付金
100%グループ企業に寄付をした場合は費用とならず、受け取った企業も
受贈益(収益)が計上されません。
●譲渡にかかわる損益
資産等の譲渡があった場合、損益は実現せずグループ外に出たときに
改めて収益もしくは費用となります。
他にも特徴はありますが、今回問題となっているのは、含み損のある土地を
グループ企業に譲渡しても損失が計上できない点です。
100%株式を所有していない企業に対して売買すれば良いのですが、中小企業
の場合、株式は持株会を除いてほとんど親族(個人)か、親族が支配している
グループ企業が所有しています。
実質的に同族会社間での含み損の実現はできないのです。
ところが、含み損を抱える土地を持った「株式会社」が「一般社団法人」に
売却した場合はどうでしょうか。
「一般社団法人」の特徴は資本金(持分)が無い為、所有権の特定ができない
ことです。
そのためグループ法人税が適用されないため、含み損を実現させることが
可能になるのです。
それでは「一般社団法人」とはどのような組織なのでしょうか。
平成20年に公益法人改革が行われ、「一般社団法人」や「一般財団法人」は
登記のみで誰でも設立することができるようになり、公益性はなくなりました。
そのためほぼ普通の株式会社と同じ法人税が適用されます。
公益法人の旧制度では社団を設立する時点で各所轄官庁が公益性を判断し、
税制も優遇されていました。
ところが新制度では公益認定審議会が「一般社団法人」の設立後に公益性を判断
しています。
「一般社団法人」は、理事1名(株式会社の役員)と社員2名(株式会社の株主)
で構成されています。
また「一般社団法人」の中で、「特定の者に利益を与えない法人(非営利型法人)」
と定款で規定すると、34業種の収益事業のみにしか法人税が課税されません。
非営利型法人とは、収益事業を行わないということではなく、社員に剰余金の
分配を行わない法人という意味です。
一般社団法人の法律上のメリットは、
●出資者が存在しないため内部留保額に対する課税がなされない
●グループ法人税制が適用されない
●倒産隔離機能がある
となっており、同じ意思決定ができる組織(一般社団法人)へ資産を譲渡した
時に、グループ税制が適用されない(含み損が計上できる)ということは
大きいメリットです。
また、この処理を行うと資金(資産)をグループ外に流出することなく、多額の
損失を計上できることになりますので、一考の価値があります。
いかがでしょうか。
一般社団法人に関することで不明点がある場合はいつでもご連絡ください。