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所長コラム

法人税の節税対策~自社株式評価の下げ方 その1 役員退職金

2014 年 12 月 24 日

今年度はセミナーが多かったため、お送りしているメルマガも後半は
月1回となってしまいました(苦)。

来年度は月2回のペースをきちんと守って、有益な情報提供を行っていけるよう
心がけて行きたいと思っています。

また今回は、前回までの【不動産オーナーの節税対策 その2 ~ 会社設立の
メリット・デメリット】について、会社設立をした場合の具体的な節税対策に
ついて解説するはずでした。

が、今回は先日の東京フォーラムでのセミナーの内容を再度解説してもらいたい
との話を優先して、自社株式の評価をどのようにして下げていくかをお話しして
参ります。

もちろん不動産オーナーの節税対策も忘れずに今後UPしていきます。

 

今までもメルマガで何度か役員退職金のメリットをお話してきましたが、
今日は「自社株式の評価を下げる視点からの役員退職金を使う方法」です。

 

□高額となった自己株式の下げ方

●役員退職金の支給

自社の株式評価を下げるうえで一番良く使われているのが、役員に「退職金」を
支給して、特別損失に計上し、単年度赤字にすることで会社の株価を下げる
方法です。

また退職金にかかる所得税は、日本の所得税制の中では一番優遇されているので、
もらう方もメリットがあります。

例えば、会社で役員退職金をいくら計上できるかというと、

Aさんの退職時の役員報酬は月100万円とします。

この方の勤続年数は30年。

代表取締役なので会社への功績は倍率にすると3倍とします。

この場合「会社の経費として計上できる役員退職金」は税法上限度額が決まって
いて、その算式は

最終役員報酬(月)×功績倍率×勤続年数=役員退職金

100万円×3倍×30年=9,000万円

となり、退職金を出した事業年度の利益が9,000万円を下回っていれば
赤字となり、株価が引き下げられます。

これに加えて、

役員個人がもらう退職金の所得税の節税効果としては、

●退職所得控除

退職金から差し引ける控除額は、勤続年数20年まで年間40万円、20年を超える
場合は超えた年数に年間70万円を乗じた金額となります。

●所得が2分の1

もらった退職金の半分にしか課税されません。

●分離課税

他の所得と合算されないので、Aさんが会社を辞める年度に役員報酬が高くても
退職金にかかる税額が増えることはありません。

たとえば、役員報酬(給与所得)を9,000万円もらった場合の税金
(復興税制除く)は

(9,000万円‐245万円(給与所得控除))×45%‐4,796,000円=34,601,500円

となります。

これに対して役員退職金(退職所得)を9,000万円もらった場合の税金は、

9,000万円‐(40万円×20年+70万円×10年)×1/2=3,750万円
3,750万円×40%‐2,796,000円=12,204,000円

となり

その税金の差は

34,601,500円‐12,204,000円=22,397,500円

となり、税額で2,000万円以上の差が出てしまいます。

このため、この退職金税制を有効に活用することが節税のポイントとなります。

それでは有効活用策として、今経営している会社を分社して複数の会社にしたら
どうでしょうか?

例えばメーカーの場合は製造部門と営業部門を分社することは可能です。

またサービス業の場合は営業を行っている地域ごとに会社を分離することも
可能です。

経営においては社内の営業部門と製造部門の給与体系を変えたいと思うことも
あるかと思います。

通常は部門を分けて対処するのでしょうが、会社として別組織とすることも
会社法上は可能なのです。

そこでそれぞれの会社で役員となっていれば、退職する時に各会社から退職金
をもらえますし、そもそも複数の会社にしておけば株価もそれほど上がりません。

兄弟会社のメリットとして特筆できる点です。

ただ、24年税制改正により勤続年数5年以下の会社からもらう役員退職金は
「特定役員退職金」となり、退職所得が半分にならないので、スキームを組む
場合は気を付けてください。

 

今年もメルマガをお読みいただきありがとうございました。

来年以降も相続税をはじめ増税が目白押しです。

少しでも無駄な税金を減らして、売上や人材獲得に資金が回るような、有益な
情報を届けていきたいと思っています。

今後ともよろしくお願いいたします。