Columnコラム
海外赴任する従業員の課税問題について~その1
2011 年 9 月 13 日先日「コブクロ」というデュオ(今でも男性二人組のボーカルを
こう呼んでいるのでしょうか・・(汗)のステージに行ってきました。
小渕健太郎、黒田俊介という二人の名前をとって「コブクロ」と
バンド名が付けられたのらしいのですが、以前二人の曲を全く
知らなかった私は、
「コブクロ」・・? 焼き鳥の事?
とトンチンカンな返事をしていたこともあるくらいでした。
今では、全国的に人気のあるバンドですが、今回いきなり休養する
という発表を全国ツアーの最終日にしていました。
原因は小渕氏の声が出なくなってしまい、病気療養と言うことですが、
デビューから10年ちょっとずっと歌い続けてきた疲労が出たようです。
確かに、お客様に対するサービスはベストのものを提供する必要が
ありますし、「手を抜くなんてもってのほか!」です。
真摯に対応することがサービス業としての根幹であると思っていましたが・・
物事(仕事)は継続していくことも重要です。
一生懸命行っている仕事なら、必ずそのサービスを待ってくれている人が
いるはずです。
そのためにも、どんな仕事でも継続していくことが「信頼」と「信用」に
繋がっていくのだと思います。
経営者は倒れてしまうと代わりの人はいません。
身体に気をつけて、頑張って頂きたいと思います。
今日は、前回に続いて、海外問題について考えてみたいと思います。
海外に兄弟会社、もしくは子会社を設立し、その会社に
日本の本社から従業員を派遣する会社も日増しに増えてきています。
その時、従業員の日本での所得税・住民税の納税はどのように
行えばよいのでしょうか。
この問題には、まず「どのような人に対して日本国は税金を課して
いるのか」(納税義務者)を把握しなければなりません。
《納税者の区分》
日本国に対して納税しなければならない人(個人)はまず、
◎「居住者」と「非居住者」
に分別されます。
次に、「居住者」は
◎「永住者」と「非永住者」
に分別されます。
●「居住者」とは、
〇場所・・日本に住所がある人
〇期間・・日本に1年以上住んでいる人
のことを言います。
●「非居住者」とは
「居住者」以外の人(日本に住所も1年以上住む場所もない人)
「居住者」はほとんどの人が日本国の「永住者」なのですが、
その中で特定の人が「非永住者」となります。
●「非永住者」とは
過去10年以内で日本に5年しか住んでいない人
上記のように、日本に対して納税しなければならない人を
分けることができます。
「日本で納税しなければならない人の区分」は分かりました。
では、それぞれの納税者は、儲け(所得)に対してどの範囲まで
課税される事になっているのでしょうか。
《納税者の課税範囲》
●居住者(非永住者以外)の課税範囲
全世界全ての所得に対して課税されます。
●非居住者の課税範囲
日本国内で発生した所得(国内源泉所得)に課税されます。
●非永住者の課税範囲
〇日本国内で発生した所得(国内源泉税)
〇日本国外で発生した所得(国外源泉税)のうち、日本国内で
支払いがあるか、日本に送金されたもの
の両方に課税されます。
非常に分かりづらい内容でしたので、もっと具体的な話しを
してみましょう
たとえば、
国内にマイホームと家族をおいて単身で1年以上海外勤務(日本の企業
勤務)をしている給与所得者Aさんの場合は、日本国はどのように
課税するのでしょうか。
海外に1年以上勤務するということは、「非居住者」になるということです。
ただ、「非居住者」は日本に1年以上住む場所(住所)が無い人のことでした。
Aさんは、マイホームも家族も日本に置いて来ているので、1年以上
日本に住む処も住所もある状態です。
どのように判断すればよいのか??
そのため、海外勤務者の場合、「住所」があるかどうか客観的に決める
方法があります。
それは、
「契約により(雇用契約含む)外国で1年以上勤務する職がある場合」
は、形式的に「非居住者」と判断する規定があるのです。
この時、同時にAさんの奥さん(専業主婦)と子供も自動的に
「非居住者」となります。
つまり、
●1年以内の海外勤務
1年以内の海外勤務の場合は、「居住者」となり、日本の国内従業員
と変わらず課税される。
●1年超の海外勤務
1年以上海外で勤務する場合は、「非居住者」となり、日本国内で発生
した就業(所得)にのみ課税される。
となるのです。
ここで良く間違えてしまうのが、
「非居住者」である海外勤務者が、国内で受け取った給料(国外で
就業)は課税されない(非課税)ということです。
すなわち、
国内での勤務を行っていない場合、給料の支払いを国内の留守家族に
しようが、国外で現地払いにされようが、国内で発生した所得ではない
ため、課税はされません。
「非居住者」の課税範囲は、日本国内で発生した所得のみなのです。
ここでもう一つ良く間違える問題ですが、
「短期滞在者免税」という日本に183日以内しか滞在しない人は
税金が免除されるという、特例を聞いた人もいるかもしれません。
これは、外国企業の従業員が、日本に短期滞在している場合に
適用されるもので、日本の国内企業の従業員に対して適用されるもの
ではありません。
そのため、国内企業の海外勤務者の納税範囲は「居住者」か「非居住者」の
いずれかで判断されます。
今回の問題のスタートとなっている「居住者」、「非居住者」の判断は、
極めて重要な問題です。
上記の区分が間違っている場合は、その後の判断が適確に行われても、
結果的にすべて間違った処理となってしまいます。
より詳細な判断が必要な場合には、税理士に確認をお願いしてください。