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消費税~10%のインパクト

2012 年 6 月 19 日

先日久しぶりにカジュアルパンツを買いました。

昔から服をあまり買わず、季節ごとに気に入ったお店で
上から下まで店員さんに見繕ってもらうくらいの無精者です。

歳のせいか、ウエストがきつくなってしまったため、
買い替えを余儀なくされてしまいました。

アメリカ製のしゃれたパンツです。

ところが、買って1週間とたたないうちにお尻が破けて
しまい、 ウエストどころではなくなってしまいました。

日本製ではどんな安物でも1週間で破れるパンツは最近ないと思います。

やはり慣れないことはするもんじゃないという事でしょうか・・

 

さて、

今日は、そろそろ採決されそうな「消費税10%」についてお話
していきます。

どんな会社に一番ダメージがあるか、理解して頂ければと思います。

まず、「消費税の仕組み」についてすでに理解されていると思いますが、
ちょっとご説明します。

消費税は、売上高が1年で5,000万円を超えている会社(個人も同様)は、
本則課税といわれる方式で計算します。

『消費税本則計算方法』

「収益」の5%-「費用」の5% ⇒  差額を納付

つまり

「得意先から預かった消費税」-「支払先に前払いした消費税」

⇒「残りを税務署に納付」

となります。

 

この「収益」には売上高など、「費用」は仕入高や交通費などで、
国内での取引には全て消費税がかかります。

さて、今回の3党合意で消費税が「10%」になった時
どのようなことが起こるでしょうか。

単純に考えると、消費税は「今払っている金額の2倍」になります。

ただ、ここで注意しなければならないのは、
消費税には「課税されない取引」があるということです。

中小企業で消費税が課税されず、金額が大きいものは「人件費」・
「保険料」・「減価償却費」などでしょうか。

つまり「人件費」などは、
得意先(収益)から預かった消費税から、支払先に前払い(費用)した
消費税が差し引けないのです。

売上高に対して「人件費」の割合が高い『サービス業』と、割合が低い
『メーカー(製造業)』の消費税額をシミュレーションしてみると

 

〇『サービス業』では

売上高を100%とすると

人件費  50%
保険料  10%
地代家賃 10%
手数料  20%

程度の割合が多いかと思います。

消費税を10%とすると

科目    金額   消費税
◎売上高 1,000円  100円
●人件費  500円
●保険料  100円
●地代家賃 100円   10円
●手数料  200円   20円

売上(収入)で預かった100円から地代家賃10円、手数料20円(費用)
差し引くと、70円の消費税を支払うことになります。

 

〇これが『メーカー』だと

売上高を100%とすると

仕入高(売上原価)50%
人件費      25%
保険料       5%
地代家賃      5%
手数料      10%

という割合になるでしょうか。

 

『メーカー』では売上高に対する売上原価(費用)が大きいため、
『サービス業』程売上高に対する人件費の割合が大きくありません。

そうすると、

科目    金額   消費税
◎売上高  1,000円   100円
●売上原価  500円   50円
●人件費   250円
●保険料   50円
●地代家賃  50円    5円
●手数料   100円   10円

売上(収入)で預かった100円から仕入高(売上原価)50円、地代家賃5円、
手数料10円(費用)を差し引くと、35円の消費税を支払うことになります。

先ほどのサービス業と比較すると消費税は半分で済んでいます。

 

ここからわかることは、売上高に対する人件費の割合の大きい企業にとって
消費税の増税は、大きなインパクトになるということです。

今後は人を雇用する場合、現在の源泉税・社会保険以外にも
2倍になった消費税の納税を考えて資金繰りを考えていかなければ
なりません。

すなわち、今まで以上に『粗利益』を確保できる「ビジネスモデル」
もしくは、「値付」を行うことが重要になってきているのです。

繰り返しますが、売上高に対する人件費の割合が高い企業は
特に気を付けてくださいね。