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相続税~タイでの代理出産 オフショアを使った最新節税対策について

2014 年 9 月 3 日

税理士の宮原でございます。

先日巷を騒がせたタイやインドで10名以上の子供をもうけたという、
光通信の 重田光時氏(以下A氏)のことはもう既にご存知かと思います。

今回の事件はタイで話題となり、はじめは人身売買という話でしたが、
途中から節税対策ではないかという話に変わってきました。

そのためタイに事務所のある当社にも徳間書店の記者の方から取材が
来たほどです。

 

そこで今日はオフショアを使った節税対策が現在どこまでが可能で、
どこまでが抜け道なのかということを解説していきます。

まず前提としてA氏は光通信の代表取締役の息子であり、総資産が50億円前後
という超富裕層にあたります。

そして香港の大学を卒業後、香港他東南アジアでビジネスを展開している
という背景の人です。

ここで、平成26年現在の日本の相続税(贈与税)の課税対象(人・財産)を
まとめてみます。

まず所有する財産が国内にあるか、(「国内財産」)と海外にあるか
(「海外財産」)で課税の仕方が異なります。

次に『相続人(財産をあげる人)』が日本に住所があるか、無いかでも課税の
仕方が異なります。

また「日本国籍」があるか、加えて「日本国外に5年以上滞在」しているかに
よっても課税の仕方が異なってきます。

 

上記の要件をまとめると

【相続人】

□国内に住所のある人、で

○日本国籍があって国外に5年超滞在している人
か、または
○日本国籍のない人

□国内に住所のない人、で

○日本国籍があって国外に5年超滞在している人
か、または
○日本国籍のない人

という区分に分けることができます。

 

『被相続人(財産をもらう人)』も国内に住所のあるか、無いかで課税の仕方が
異なります。

また国内に住所のない『被相続人』が、国外に5年以上滞在しているか、否かで
再度課税の仕方が異なります。

 

上記の要件をまとめると

【被相続人】

□国内に住所のある人

□国内に住所のない人、で

○国外に5年以下滞在している人
か、または
○国外に5年超滞在している人

という区分に分けることができます。

上記のうち、ある一定の要件を満たした場合は、『海外財産』を「相続人」が
取得しても相続税も、贈与税もがかかりません!

そしてある一定の要件とは

○「相続人(財産をもらう人)」が国内に住所がなく、
かつ日本国籍がない

及び

○「被相続人(財産をあげる人)」が国内に住所がなく、
かつ国外に5年以上住んでいる

という要素を満たした場合には

○『海外財産』を「相続人」が取得しても税金がかからない(贈与も同じ)

ということなのです。

 

具体的にいうとA氏(「被相続人」)は香港の大学を出て、香港に勤務している
ということですから、日本国内に住所がなく、かつ国外に5年超住んでいる
という条件を満たします。

またタイやインドで生まれた「相続人」はインドまたはタイの国籍を持った
子供達なので日本の国籍はありません。

加えて生まれた土地で代理母と共に育っているため、日本の住所もありません。

そのため、今の時点で『海外財産』を乳幼児である子供(「相続人」)に
贈与しても、日本の贈与税はかからないのです。

武富士事件から相続税の課税条件も広がってきましたが、まだ穴があると
いうことです。

ただ、今回の事件の場合『海外財産』を子供(「相続人」)に贈与するにしても、
余りに子供の数が多すぎます(苦)。

上記のスキームを使うとしても、子供は2~3人で十分です。

光通信の事件は時間がたってからまた別の展開になるかと思いますが、
現在のオフショアを使った節税対策についての参考になればと思います。