Columnコラム
相続税~会社を使った節税対策
2012 年 6 月 5 日5月の申告がようやく終わりを迎えました。
会計事務所は毎年12月から翌年の5月までが繁忙期です。
毎年5月が終わると、ほぼ1年が終わった・・と
感じる事もあります。
が、
このたび東京商工会議所の「東京都事業引継ぎ支援センター」の
アドバイザーとなりました。
このセンターは、経済産業省が後援している事業で、
中小企業の事業承継をサポートし、スムーズに次世代へ
経営資源を引き継がせる専門機関です。
6月に入って時間もできましたので、M&Aや事業承継でお困りの方が
おられましたら、いつでもご連絡ください。
では今日は、
『現預金』で財産を持っている親からの相続は
どの様にしたら節税できるのでしょうか?
という相談についての回答をお話ししていきます。
相続税の節税の場合、「相続する財産額」を
どのように減らすかが、節税のポイントとなります。
相続税の算出方法は単純に言うと、
1.亡くなった方の財産を税法に照らして評価する。
2.その「評価後の財産額」に税率をかける。
3.相続税の納税額を算出する。
気を付けなければならないのは、相続財産の種類によって
財産の評価方法が異なるということです。
もっと具体的に言うと、
●「現金や債権」(評価しやすいモノ)= 時価
●「土地や株など」(評価しづらいモノ)< 時価
となります。
つまり、なるべく財産を「評価しづらいモノ」にして、
相続財産の評価を減らしてしまうことが、節税の
第一歩なのです。
2011年12月の相続税対策~マンションで節税する
所長コラム2011/12/03
でも少しお話しましたが、財産を不動産にすることによって、
かなりの相続財産を減額することが出来ます。
今回はもう一歩進んで、会社を使った節税方法を提案してみました。
≪前提≫
●親が1億円の現金を所有している
●土地の「路線価額」は時価の80%
●建物の「固定資産税評価額」は時価の80%
●借地権割合80%
●借家権割合30%
≪節税方法≫
まず、親が会社を設立します。
この時、資本金を1億円とします。
この時点では、会社の評価額は
●現金=1億円です。
次に会社の1億円で不動産を購入します。
すると、会社の帳簿では
●土地=5,000万円
●建物=5,000万円
となります。
が、取得後3年経過すると、
土地の相続税の評価では、
●土地=5,000万円×80%=4,000万円
(土地の路線価は時価の80%)
●建物=5,000万円×80%=4,000万円
(建物の固定資産税評価額は時価の80%)
現金から不動産に資産を変えただけで
相続税の財産の評価は、1億円→8,000万円になって、
株式の価値も1億円から2,000万円ほど評価が下がって
しまうのです。
さらに、この不動産を賃貸に出すことにします。
●土地=4,000万円×(1-80%×30%)=約3,000万円
(土地を人に貸すことになるため評価が下がります)
●建物=4,000万円×(1-30%)=約2,800万円
(建物も人に貸すことになるため評価が下がります)
土地建物の合計は5,800万円となり、始めの現金1億円と
比較すると約半分の株式価値となっています。
現預金をアパートに変え、人に貸し出すだけで、
相続財産の評価は約半分になってしまうのです。
今回はここで終わりません。
次に不動産を所有している会社で事業を行っていきます。
≪会社の収入≫
●不動産収入
●事業収入
≪経費≫
●不動産経費(減価償却)
●事業経費
●役員報酬
●生命保険料
会社の収益が出ない場合は、株価が下がっていきます。
会社がうまくいった時、株価は下がりませんが、
最終的に役員の退職金を出し、いずれにしても株価を引き下げます。
この引き下げた株式を株主である親から子供に贈与して
いくのです。
可能であれば、毎年の贈与税額の基礎控除分110万円以内で
毎年贈与できれば良いでしょう。
この場合、キャッシュフローには気を付けなければいけません。
が、これをクリアすれば、
財産の種類 相続財産 納税額
●現預金 1億円 3,000万円
↓
●株式 3,000万円 450万円
(賃貸不動産)
税額では、現金が1億円あった時の6分の1以下に
抑えることも可能な方法です。
いかがでしょうか。
ここからわかることは、いきなり相続を迎えてしまった場合と
対策をしてから相続を迎える場合では、納税額に大きな
違いが出るということです。
長期的な対策を採ることが、相続税の節税では重要です。
今回のスキームで不明点・疑問点がある場合はご連絡ください。