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所長コラム

相続税~相続税増税時代の効果的な節税対策とは!

2013 年 6 月 24 日

来週、大阪に出張となりました。

行政が民間に委託している業務を第3者の視点から評価し、より効率的な
運営をさせるための調査を行ってきます。

以前福岡で、民主党が行っていた様な「事業仕分」を市町村レベルで行った
事がありましたが、それ以来の行政の仕事です。

新しい仕事に取り組むときは、緊張もしますが、ワクワクしてしまうのは
私だけでしょうか(笑)

 

最近相続税の課税が強化されてきています。

相続税は一旦税金を課された所得のストックに再度課税するため、
二重課税であるという誹りは免れません。

しかし今までは課税割合が5%弱と、富裕層だけにかかる特別な税金という
観点からあまり話題になりませんでした。

ところが、税法改正によって、基礎控除額が大幅に下がったことから、都内に
住宅を持っている一般大衆までも課税の対象になる可能性が出てきたのです。

 

相続税の課税方法は、単純に考えると

〇相続税=課税資産×税率

です。

つまり、課税資産が少なければ少ないほど、相続税は少なくなります。

相続税が課される資産とは、「預金」や「不動産」、「有価証券」などです。

その「課税資産の評価」は、実は相続税法の本則にも、「相続財産の価額は
「時価」で評価する」と書かれているにすぎません。

「資産の時価」と「課税資産の評価」が一番乖離しているのは不動産です。

現金の100万円は、相続税の評価でも100万円ですが、不動産は売買価額が
100万円であっても、相続税法の評価だと50万円になることさえあるのです。

巷で、「不動産を持つことで相続税を節税しましょう」と謳っている根拠は、
「不動産を所有して、課税資産の評価を下げましょう」という事なのです。

 

そこで今回は、相続財産の中でも一番時価が下がる可能性のある「土地」の
評価を検討していきます。

特に税理士でも良く間違う難しい土地の評価方法についてお話ししますので、
もしご自身でこの様な土地を持っている場合は、気を付けてくださいね。

 

まず、税理士は相続時、「土地の評価」を「税法の評価のモノサシ」である、
「財産評価基本通達(路線価)」という方法で行います。

ところが土地の「時価」評価は、相続だけで行うものではありません。

売買などで評価する場合は、「建築基準法」「都市計画法」「売買価額事例」
など、「税法以外の評価のモノサシ」も使います。

つまり、税理士が、「財産評価基本通達(路線価)」という税法固有のモノサシ
でしか評価をしていないと、「売買価額事例」などでもっと減額の余地がある
場合は、評価を過大に行ってしまうことがあるのです。

ただ、通常「財産評価基本通達(路線価)評価」は「売買時価」の7掛けと
言われ、ほとんどの場合「売買時価」より安い設定となっています。

そのため、相続では土地を「財産評価基本通達(路線価)評価」した方が、
相続税が課税される課税財産が減額される場合が多いのです。

ところが、最近人口の減少によって土地の価額が下がり続けていたり、
土地の形状や性質によっては、「財産評価基本通達(路線価)評価」より
「売買時価」が安くなる場合が出てきています。

この様な場合は、不動産鑑定や、現地調査、役所調査、過去の国税不服審判所
の事例調査などで多面的に減額の根拠を固めます。

 

では具体的にどのような土地の評価が減額されるのか、具体的に
見ていきましょう。

 

〇「隣の土地と高低差」がある、もしくは「敷地内に凸凹」がある場合

相続税法では明確に規定されていませんが、不動産鑑定では減額対象
になる可能性があります。

 

〇墓地・産廃処理・ゴミ廃棄施設等の「嫌悪施設」がある場合

相続税法では明確に規定されていませんが、不動産鑑定では減額対象
になる可能性があります。

 

〇「騒音・振動」が激しい場合

相続税法では明確に規定されていませんが、不動産鑑定では減額対象
になる可能性があります。

 

〇「高圧線の下の土地」の場合

高圧線の下の土地は空中の利用や建築に制限がかかります。

相続税法でも30%の減額となります。

 

〇「鉄道等のトンネルの上の土地」、「地下鉄の上の土地」、「高速の下の
土地」の場合

相続税法でも30%の減額となります。

 

〇「道路と繋がっていない土地」の場合(無道路地)

道路に接していない土地は、「建築基準法上」建物が建てられません。

特に道路に2メートル未満の間口で繋がっていても、「無道路地」と
なってしまいます。

また、「建築基準法上」の「道路」でなく「通路」であった場合も
「無道路地」となるため、間違えやすい土地と言えます。

相続税法でも40%減額となります。

 

〇「私道」に隣接している土地の場合

「私道」の状況によっては「無道路地」になる場合があるため、間違え
やすい土地と言えます。

 

〇以前「水路」だった土地、「林道やけもの道(赤道)」であった土地
水路や田んぼのあぜ道などは公共物と認定されるため、評価対象から
外さなくてはならず、その分減額となります。

 

〇同じ宅地の中で「容積率」が異なっている土地の場合

大きな幹線道路沿いの土地の場合、表通りが商業地区、裏通りは住宅地区で、
奥行が20メートル以上ある場合は減額の可能性があります。

 

〇「市街化調整区域内」の土地の場合

市街化調整区域では建物の建築が抑制されます。

相続税法でも建物が建てられなければ50%、店舗だけが建てられる場合は
30%の減額となります。

 

〇「土壌汚染」の土地の場合
相続税法では明確に規定されていませんが、
不動産鑑定では減額対象になる可能性があります。

 

〇「広大地」

東京・大阪等の市街地区域の場合は500平方メートル以上、それ以外の
土地の場合は1,000平方メートル以上の広い土地の場合は、区割りをしたり、
道路を造ったりと手間がかかるため、なかなか買い手が付きません。

そのため、相続税法でも評価は最大65%の大幅な減額となります。

 

〇「セットバック」が必要な土地

自分の土地でありながら、将来道路として提供しなければならない土地の
事を言います。

この部分の土地は相続税法でも70%の減額となります。

 

〇「池・沼地」だった土地の場合

相続税法では明確に規定されていませんが、不動産鑑定では減額対象になる
可能性があります。

 

上記の様な土地の場合、相続税法上の減額対象を見逃してしまったり、
不動産鑑定で減額対象となっている土地がある場合は、多額の納税となって
いる可能性があります。

もし上記の土地が相続財産に含まれているようでしたら、改めて相続申告を
やり直してみると、納め過ぎた税金を取り戻すことができるかも知れません。

 

一度確認をしてみてはいかがでしょうか。

不明点がある場合はいつでもご連絡ください。