Columnコラム
確定申告直前対策~23年度末までに行わなければ間に合わない!
2011 年 12 月 15 日今年度下半期の税務調査はすごい頻度でした。
理由を税務署員に聞くと、上半期は震災の影響でほとんど税務調査が
できなかった。
しかし、1年で調査に入る会社数は決まっている。
そのため、下半期に集中したとの事でした・・・
民間からすれば、そこまで杓子定規に行わなくても・・
と思うところです。
最近は紳士的な税務調査が増えてきました。
が、その中で今回非常に憤りを覚えた調査がありました。
某飲食店なのですが、ある朝一斉にお店、事務所、役員の自宅と
調査員がなだれ込んだのです。
現金商売だけに拒否できない面もあったのですが、クライアントへの
フォローは税務署員が乱入して、慌てて事務所の職員が現場に
駆けつけるという状況になってしまいました。
結果的には、ほとんど否認事項は出ずに終わったのですが、
「棚卸の計上」が「実際にある品数」と「帳簿の品数」が
異なっているという事だけで、「重加算税」をかけてきました。
「重加算税」とは、最高裁の判決でも、「申告納税を怠った者に
対する制裁的意義を有することは否定しえない」と意図的に租税回避を
行った時に適用され、税率も本税の35%を加算する極めて重い罰則です。
今回が会社設立以来、初めて調査という事もあり、
「ひどすぎる、重加算税をかけてくるのなら、修正申告に応じない」
と、突っぱねました。
「重加算税」は、税務署職員のボーナス査定となります。
どうしても取りたかったのでしょう、「重加算税」をかける代わりに、
総額での納税額を極端に減額してきました。
このように、税務調査は、税法に準拠してではなく、交渉に応じる
場面が多分にあります。
まずは、税務署員の言いなりにならず、会社にとって正しいと
思う事を十分にアピールしてみてください。
税法に拠らず、担当者の裁量に任せる事例が多いため、逆に
税務署への信頼が揺らいでいると思うのですが・・・
さて、今回のお話は、ご存知の方もいると思いますが、24年度から
「FX取引」の個人向けの税制が一本化されます。
とくに取引所以外の取引(店頭取引)を行っている方は
来年から税制が全く変わってしまうので、気をつけてください。
まず、現在の税制ですが、
《23年12月までの取引》
〇取引所での取引(クリック365、日経平均先物など)
●申告分離課税~税率20%
●損失は3年間繰越控除
●取引所取引同士で損益通算
〇取引所以外の取引(店頭FX、オプション取引など)
●総合課税~累進課税15%から50%の申告課税
●損失は繰越控除できない。
●利益が出た場合は総合課税(店頭取引同士で相殺)
これが、24年1月1日以降の決済分から、現在の取引所取引と同じ税制
(クリック365と同じ)に一本化されます。
《24年1月1日からの取引》
〇取引所での取引
〇取引所以外の取引
いずれも、下記の3つの要件での取引となります。
●申告分離課税で一律20%
●損失の繰越控除が3年間可能
●取引所の先物取引等とも損益通算できる。
具体的な商品例としては、
〇店頭FX
〇商品先物
〇日経225先物
〇店頭CFD(差金決済取引)
〇オプション取引
などの店頭金融商品の税制上の取り扱いが、全て取引所取引と
一緒になります。
取引を具体的な事例で見て見ますと、
〇「店頭FXで含み損」がある場合
店頭FXで含み損があり、損切りを考えている人は来年1月以降に
損失を確定させた方が有利です。
再来年以降3年間損失の繰越が可能です。
またFX以外の現店頭取引金融商品との損益通算もできます。
〇「店頭FXで含み益」がある場合
23年12月までは、総合課税(他の所得と利益が合算される)で、
税率は5%から40%までの累進課税(住民税一律10%加算)です。
24年1月からは、申告分離課税で、一律20%(所得税15%+住民税5%)に
なります。
利益が出ている場合どちらが税金を多く払うかの分岐点は、
『427万円』です。
店頭FXの総合課税で利益が427万円以下に収まる場合は
年内で確定を急いだ方が有利かも知れません。
〇取引所FXで含み損があり、店頭FXで含み益がある場合
金額にもよりますが、取引所FXの含み損は23年度中に確定させ、
店頭FXの含み益は決済を24年度以降に先送りした方が良いでしょう。
来年以降は、取引所FXの損失と、店頭FXの利益を通算する事ができます。
〇取引所FXで含み益があり、店頭FXで含み損がある場合
取引所FXの含み益、店頭FXの含み損いずれも来年に先送りして
ください。
今年の後半は相場環境も大変厳しく、含み益より含み損のケースが
多いと思います。
税制の変更をよく確認して年末年始のポジション確定を
行ってください。
今後商品先物やCFDも、税制上FXと同じ土俵での競争になります。
証券税制の一体化にまた一歩ずつ近づいているようです。