Columnコラム
税務調査について~勝てる税務調査とは
2011 年 10 月 18 日今年の8月の終わり頃から税務調査の頻度が上がってきています。
税務署員に直接聞いたところ、やはり震災の影響がある様です。
はっきりとは言いませんが、国家予算が無いので、調査で税金を
獲得する意向とのこと・・・(苦笑)。
確かに脱税をしている人に対して納税を強いることはもっともだと
思います。
しかし、大半の事業者は、(ケアレスミスとは言え)重箱の隅を
つつかれて、納税を強いられているというのが現実です。
よくクライアントから、「税務調査はいつごろ来るのでしょうか」
という質問を受けます。
税務調査が入りやすい企業というのは実際にあります。
『調査が入りやすい処理を行っている企業』
〇申告書の内容に明らかにミスがある
〇税額還付がある
〇外国との取引等がある
〇資料せん(税務署の調査資料)との照合上問題がある
〇売上高・利益額が急伸した時(粗利益率が極端に変わった時)
〇決算内容に異常値があった
〇重加算税等の悪質な処理を行っていた
では実際に税務調査が来てしまった場合はどのように税務署と相対
すれば良いのでしょうか。
これは税理士事務所の意向によってかなり対応の仕方が異なってきます。
よく税務署もタダでは帰らないのだから、お土産を準備して
置いた方が良い、との話も聞きますが、これは間違った戦略です。
お土産で美味しい思いをした会社には税務署は必ずまたやって
来るのです。
税務署員も(これもはっきり公表されてはいませんが)追徴税額が
人事評価のポイントになってきます。
特に税務上「仮装・隠蔽」工作を行った場合に適用できる罰則規定
『重加算税』を摘発した時はポイントが上がるようです。
それより、あそこの会社は行っても何も出ない、行かない方が良い、
と思わせた方が勝ちなのです。
また社長によっては、「税理士事務所に見てもらっているんだから、
追加の納税が無いのは当たり前だ」と思われている方もいるかも
しれません。
税理士事務所の対税務調査の方針は2通りです。
〇初めから「税務署寄り」の処理を行って、税務署との争いを
極力避ける事務所
〇節税を徹底して、税務署と争っても無駄な税金を払わない事務所
そのため、税務調査で否認額が出ない理由は、初めから税務署寄り
の処理を行っていたため・・という笑えない話もあります。
私の事務所は、節税対策を徹底させています。
その代わり、税務署に対しての理論武装は万全にしていきます。
負けるケンカはしません(笑)
税務行政は、「社会通念上、常識的な範囲で」という指示の仕方を
することが多いため、グレーゾーンが多くあります。
税務調査では会社側と税務署側での『見解の相違』がよくあるのは
このためです。
税務処理の判断基準があいまいな時、何をベンチマークとするかは
非常に重要です。
私の事務所での税務署に対する理論構築の仕方は、
●税法、通達等の条文を読み込む。
●学説等の一般の見解を参考にする。
●判例等の裁決が下った処理を参考にする。
の3つの流れを必ず押さえて処理を行います。
最近嬉しいことが続いています。
当社のクライアント数社に税務調査が来たのですが、ほぼ是認
(追加納税の必要なし)、あっても指導程度で、納税はありませんでした。
納税は義務であり、正当な納税は行うべきだと思います。
ただ、これだけグレーゾーンが多い税務行政だと、会社側に
立った処理を心がけるだけで納税額はかなり異なってきます。
会社の状況によっては、納税より、従業員の手当や、仕入に
おカネを回さなければならない時もあります。
現在の経済状況では、少しでも会社にキャッシュを貯めて、
会社を継続させることが、長い目で見た時、雇用にも、納税にも
良い事なのです。