LAMTIP PARTNERS Co., Ltd.

Columnコラム

所長コラム

税務調査の改正について~今知っておくべき税務調査の対応の仕方!

2014 年 2 月 14 日

このメルマガはバンコクで執筆していますが、今回日本を出発する寸前まで
税務調査が終わらず、てんてこ舞いでした。

3月の確定申告期が始まる直前まで税務署は税務調査を行います。

最近の税務調査は昔と異なってきました。

23年税制改正において、今まであいまいだった税務調査の手続

〇質問検査権

〇事前通知

〇調査終了手続

について法律として規定されたからです。

これによって国税通則法が改正され、税務調査の手続きが制定されたので、
法律の改正内容と対処の仕方を纏めてみました。

 

以下25年1月1日から適用されている法改正となります。

 

□調査の事前通知

まず税務署は、税務調査の開始前に以下の項目を納税者(会社又は個人)に
書面に限らず通知する必要があります。

〇調査日時

〇調査場所

〇調査目的

〇調査税目

〇調査期間

〇調査の対象となる帳簿書類その他の物件

これ以外の項目を調査する場合、たとえば調査の対象となる期間が調査時に
変更となった場合でも、「改めて事前通知することなく質問検査できる」と
されています。

しかし今回「原則は事前通知ありき」となったため、事前通知が無い箇所を
調査官が調査しようとした場合は、その「疑われている理由」について説明を
求めるべきです。

 

□事前通知が無い税務調査

また調査にはいくつか種類があり、

〇実地調査(本調査)

〇内覧調査(調査前の下見)

〇反面調査(取引相手に対する調査)

〇無予告現況調査(違法性・不当性が認めらる場合)

に分かれています。

今回の改正で「税務調査は事前通知が原則」とされましたが、実地調査以外は
事前通知を有しないともされています。

このため事前通知が無く税務調査が行われそうになった場合は、「事前通知を
行わないと判断した理由」の説明を調査初日に調査官に求めてください。

無予告で調査対象となった納税者が、調査官から聞いた「通知しなかった理由」に
齟齬がある場合、その後国との紛争(訴訟)となっても、課税処分上裁判官の
心証に影響を与える可能性があります。

 

□調査終了時

以前は「是認通知」と言って申告書に誤りがない場合のみ書面が出ていましたが、
(めったに出ませんが・・)今回の改正から「修正申告での調査終了」の場合は
必ず書面により通知が出ることになりました。

当社が担当した税務調査でも、初日の調査で不備が無かったところ、2日目から
調査員が来ず、そのまま無しのつぶて・・という調査がありました。

税務署に電話して藪蛇になるのも嫌なので、放って置きましたが会社側の心証は
如何ばかりか・・というところです。

 

□修正申告の推奨

従来は納税者が納得できずに修正申告を受け入れてしまう場合が儘ありました。

納税者側としては、修正申告を早期に終わらすことが出来れば、時間的・精神的・
労務的・金銭的デメリットを節約できるからです。

今回の改正でもこの点の変更は余り無いため、対策としては否認事項について

〇把握している「事実」とその「証拠」は何なのか

〇税法の「どの条文」で課税されるのか

〇条文での「課税要件となる事実」は何が必要とされているのか

〇調査官の認定している事実はその「条文の課税要件と一致」しているのか

上記の質問をして調査官の思い込みや勘違いを正すようにしてください。

 

□同一年度の再調査

以前は同一年度の再調査に関する規定はなく、時効になるまで何度も調査が
行われる可能性がありました。

今後は「前回調査で把握されなかったが、それ以降に判明した否認事項が過年度に
波及する場合」のみ同一年度の調査が行われます。

つまり「前回調査で否認事項について気づいていたが、指摘せずに放って
おいて次回調査で数年分まとめて課税」ということはできないという事です。

 

□物件の留置

以前から「預り証」を書いて調査官が資料を持ち帰ることはありましたが、
今後は「必要がある時は」資料の持ち出しを拒否できなくなりました。

当社はじっくり資料を税務署に見られない様に極力持ち帰りさせない様に
していたのですが、今後はそうもいかなくなります。

ただ、「必要がある時」とは「調査官の心証」だけではなく、「合理的な理由」が
必要とされているため、その理由は必ず確認してください。

 

□税務署の増額更正期間と納税者の更正の請求期間

税務署が課税の増額更正をする期間(税金を課税できる期間)が3年から
5年に延長されました。

同時に納税者の更正の請求期間(税金を取り戻せる期間)も1年から5年に
延長されました。

今までは申告書に誤りが見つかった場合、税務署側が3年遡って課税してきても
納税者側は1年しか税金を取り戻せず、悔し涙を流した方も多いはずです。

この改正は23年12月2日以降に申告期限が来ている事業年度について適用
されるので、特に「期づれ」で修正申告を行う場合は、還付申告を忘れない様に
して下さい。

 

次回のメルマガでは税務調査官に聞いた最近の税務署と税務調査の実情を
お話ししていきます。

ご期待ください。