LAMTIP PARTNERS Co., Ltd.

Columnコラム

所長コラム

税務調査~税制の矛盾点

2012 年 5 月 9 日

今月はお知らせがあります。

当社の税務監査班(主に法人クライアントを担当)を若干名
募集しています。

今回は一般の会社で経理実務等を数年行っていた方(税務申告、
特に法人税の知識があれば尚可)を募集しています。

最近の税務業務は中小企業であっても一人で担当できない複雑・高度な
業務が増えて来ています。

中小企業向会計事務所では記帳代行を主な業務として、一人の担当者が
クライアント全ての案件を担当する場合が多いものです。

しかし、クライアント個別の問題に対し、議論し合いながら
回答を導き出していく、というコンサルタント会社では当たり前の
取り組みが、税理士事務所でも始まっています。

グループでクライアントへの対応を行うと、一人で業務を行っていると、
陥りがちな思い込みや、ケアレスミスを未然に防ぎ、社内でも
セカンドオピニオン的な視点を持つことができます。

昔の会計事務所の様に記帳代行だけできれば・・という時代では
無くなってきており、組織で業務に対応できる方を改めて
募集しています。

入社してみたいという方がおられましたら、宮原まで随時声を
おかけください。

メール;miyahara@lamtip-partnaers.com

電話;03-6202-7174

 

4月末でようやく上半期の税務調査も一段落しました。

最近の税務調査は露骨に売上高、利益額が増加した企業に
行われます。

当社のクライアントはリーマンショック前と比較すると
数は減りましたが、まだまだ利益を出している会社が
5割を上回っています。

そのため、税務調査も昨年からかなりの数が行われました。

税務調査も数が増えてくると、税務行政が持つ矛盾点が絡んだ
争点も出てきます。

 

今回の調査では、税務署に「実務との矛盾がある!」と反論した点が
ありました。

その内容ですが、

ビルを数棟所有している大家(A社)は、店子(B社)が退出
する事になりました。

賃貸契約により、B社は借りていた部屋の原状回復を行わなければ
なりません。

そのため、B社は原状回復費用をA社に支払い退出しましたが、
A社は次に入る店子が望むように造作を行いたいと、原状回復を
行いませんでした。

税務署はこの原状回復費用に課税してきたのです。

確かに法人税法通達では、収益が確定した段階で課税するという
条文がありますが、費用が確定する前に納税してしまうと、
造作が出来なくなり、部屋を貸すことが出来なくなってしまいます。

昨年の東日本大震災での東電からの賠償金にも課税するのかと
批判があり、国税庁は「震災特例法」にて原則課税しないとの
方針としました。

 

逆に、

費用が確定し、収入が確定しない場合は、費用は「前払費用」とし、
「資産」計上して、収入が確定した段階で費用化していきます。

収入と費用では、税務上の取り扱いが全く異なるのです。

今回の税務調査では、「費用収益対応の原則」の観点、
すなわち「費用が確定する前に収益に課税してしまっては、
仕事を継続する事が出来ない」と論陣を張り、結局金額面で
否認事項を減らしてもらいました。

全ての税務調査官に通じる方法ではないと思いますが、
「実態と異なる課税」を行ってきた場合は、真摯に「税務行政の
矛盾」について説明し、「租税回避を行っているのではない」と話を
してみるべきだと思います。

税務調査で不明な点がある場合はいつでもご相談ください。