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所長コラム

税務調査~税務署の内部事情 その2

2014 年 4 月 18 日

先日東京商工会議所の『東京都事業引継ぎ支援センター』から
『事業引継ぎハンドブック』の監修依頼がありました。

東京商工会議所では「後継者のいない中小企業」が、廃業せずに事業を
引き継ぐ事が出来るよう、他の会社との合併を視野に支援を行っています。

事業の引き継ぎに限らず、優良な企業との提携もしくは合併に関心がある場合は
是非当社にご連絡下さいね。

 

税理士事務所が忙しいこの時期に2件ほど当社のクライアントに税務調査が
入りました。

新宿税務署は「国際税務専門官」(インターナショナルな税務を扱う専門官)、
本郷税務署は「特別国税調査官」(税務署内でも大規模法人を扱うトップレベルの
調査官)の税務調査が行われました。

結論から言うと、事前の税務調査で「危ない」と思われた箇所以外は特に指摘は
無く、いずれのクライアントからも納得して頂ける税務調査だったと思っています。

以前【税務調査~税務署の内部事情】を2012年4月に書きましたが、
所長コラム2012/04/18
今回改めて税務調査時に聞き貯めた税務署の内部事情についてお話します。

 

税務署は個人の確定申告(3月)や、法人の申告集中期(5月)、また異動の時期
(7月)が忙しいため、その合間を縫って税務調査を行います。

そのため、今回は2月に税務調査が行われました。

担当者は最長6月~7月末までに結論を出そうとしてきます。

そこで結論が出ないと次の担当者に引き継がざるを得ないからです。
(異動が無い場合を除きます)

税務署の異動時期の前に調査があった場合は、7月末まで調査を引き延ばして
みると税務署員と有意義な交渉が出来るかも知れません(笑)

 

〇本店所在地

本店所在地が東京にあっても、実体がある事務所又は工場が地方という事は
良くあることです。

この場合、税務調査は地方で行われるため、税務調査の頻度は少なくなります。

本店所在地に実態があるかないかは、実は重要な調査ファクターなのです。

 

〇粉飾決算

粉飾(売上高の水増しなど)がある場合、税務調査は行われ難くなります。

以前は更正の請求(税金を取り戻せる期間)が申告後1年しか遡れないのに
対して、修正申告(税金を課税できる期間)は3年間でした。

そのため売上(収益)が認められずに還付(税金を取り戻せる)の場合でも
1年以上の遡りが出来なかったため、納税だけ課され、還付には応じられない
という非常に不公平な処理がまかり通っていました。

ところが23年12月以降は税金の還付又は課税のいずれの期間も5年に統一
されたため、税務署側も粉飾の会社(売上・利益が過大に計上されていると
税金は還付になる)は調査しづらくなったと言っていました。

本来は当たり前の改正だと思うのですが・・

 

〇引継ぎメモ

税務調査では最終日に税務署員から調査結果の講評が行われます。

その時「否認(納税)事項」と「指摘(改正点の指摘のみで納税なし)事項」が
告げられます。

この「指摘事項」とは「本来は納税に該当するが、次回までに改善できれば
御咎めが無い」というお情け的な処置です。

これで税務調査は終わりとなりますが、調査対象会社のファイルには、次の
税務調査のための引継のメモに「否認事項」と「指摘事項」が記載されて
いきます。

特に「指摘事項」が次の調査までに修正されなかった場合、今度はペナルティを
とられ、納税となってしまうので、慎重に対処してくださいね。

 

〇電子申告について

最近は申告書を税務署に持って行って収受印をもらうことも少なくなりました。

税務署主導で電子申告を行う旨の要請が来ているため、当社もクライアントの
9割が電子申告を行っています。

税務署もさぞ手続きが楽になったかと思いきや、不都合もある様です。

●紙の使用を行わない?

税務署では電子申告になってから申告書をプリントアウトしなくなったそうです。

大規模法人はさすがに印字しているようですが、中小法人は調査前に紙媒体で
しっかり調査項目を調べることが無くなってきている様です。

●税務調査の事前準備

紙媒体で申告書を俯瞰することができないため、税務調査の事前準備では
税務署内のコンピュータシステムが勘定科目の中の異常値のみをアラームとして
提供してくるだけという事です。

以前なら事前準備できちんと指摘項目を把握できたが、今では調査時に会社側
から提供してもらう紙ベースの申告書でようやく全体像を把握できる程度に
なってしまっているようです。

 

〇税務署の人事

●税務署の出世街道

以前キャリア組だけだった渡り鳥(様々な官庁を横断する人)が、税務署内の
人事でも様々な課税部門を巡って出世するようになってきています。

●副所長

副署長も以前は上がりポストでしたが、最近は審理と同様になり調査での
不備を指摘する担当となっています。

そのため副署長から現場に戻る(といっても特別国税調査官待遇)ことも頻繁な
ため、気が抜けない様でした。

 

〇会計検査院

税務署も会計検査院には頭が上がりません。

税制改正で会計検査院の調査が税務署に入ることになり、税収の取りっぱぐれを
取り締まるため、税務署に対して詳細な資料の提出を求めてきます。

少しは民間会社の気持ちがわかってくれれば良いのですが・・。

 

税務調査は短くて2日、長くて4日、税務署員と顔を突き合わせて対応します。
(国税庁調査の場合は、1週間近くあります)

言葉も端々に気を付けながらの対応のため疲れますが、調査対応が旨くいった
時の達成感はひとしおです(笑)

税務調査対応での質問がございましたら気軽にお申し付け下さい。