Columnコラム
税務調査~税務署の内部事情 その3
2014 年 9 月 16 日再度お知らせですが、来月10月1日午後14時から17時まで、金融財務研究会の
後援で「最新タイ進出の実務・留意点」のセミナーを行います。
内容は、
1)現地駐在員の目線で一からタイで会社を設立する場合の問題点
2)利益が増加してきた場合の節税対策や、利益をどのように日本に還流させるか
3)実際に現地で行われているM&Aや最新の税務問題
3時間なのでたっぷりお話しします(笑)。
タイに進出する予定のある企業様や、現在すでにタイに進出しているけれど
利益処分に困っている会社様に対する対処の仕方など、最新の情報を
お届けしますので、是非皆さんお誘いの上お越し頂ければ幸いです。
お申し込みの場合は、経営調査研究会HP http://www.kinyu.co.jp/ からか
又は直接宮原までメール頂けますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
過去2回、税務調査時に税務署員との雑談をまとめた税務署の内部事情を
お話してきました。
【税務調査~税務署の内部事情】
所長コラム2012/04/18
【税務調査~税務署の内部事情 その2】
所長コラム2014/04/18
税務調査では余り公にならない税務署の内部情報も多々聞くことになります。
今日は私が聞いて「大変だな・・」(汗)と思った税務署の実態を又聞きですが
少しお話しできればと思います。
相手(税務署員)の気持ちを考えると、税務調査の対処の仕方も変わるかも
しれませんので。。
□税務署の部門と調査担当官
会社の調査を行っているのは税務署の法人課税部門ですが、1部門から10部門
ぐらいまで分かれていて、税務署によって部門数は異なります。
法人課税部門の担当は、「内部担当部門」、「消費税担当部門」、
「源泉税担当部門」、「特別調査部門(新宿や京橋等の脱税をしている会社を
専門に担当)」、「一般部門(若手が多い)」、「特別国税調査官部門」と
分かれています。
この最後の「特別国税調査官」は副署長待遇とされており、税務署員もはっきり
とは言いませんが、大体会社の売上高が10億円を超えると「特別国税調査官」が
調査に来ている感じがします。
なお会社の資本金が1億円を超えると所轄の税務署ではなく、国税局の管轄と
なり国税局の調査部が調査に来ます。
通常の税務調査では「統括国税調査官」、「上席国税調査官」と呼ばれる役付の
上司と事務官の二人で調査する場合が多いと思いますが、会社の規模が大きく
なると「特別国税調査官」という税務署内でも大規模法人対象に調査する部署が
担当となります。
当社は最近この「特別国税調査官」の調査が多いのですが、さすがに実力のある
人が多いですね。。
幾人か例外はいましたが、税務調査では正直当たりたくありません・・
□税務署の採用ルートと出世の評価
税務職員となるためには、(平成24年から採用試験が変わっているようですが・・)
下記の3つのルートがあります。
○高卒程度の税務職員採用試験
○大卒程度の国税専門官試験
○キャリア組の国家公務員採用総合職試験
キャリア組を除き、出世競争は学歴も関係無く、かなり平等だそうです。
出世の評価ですが、税務署や国税局では、税務調査を主体とする
部門がほとんどなので、調査によりどれだけ所得を増やしたかという
「増差所得」を対象としています。
特に悪質な仮装、隠蔽により所得をごまかしている「重加算税対象所得」
を発見することに重点を置いています。
この調査実績は部門ごとに前年事績と比較されます。
また「増差所得」だけでなく、調査件数、修正割合、消費税額の差異、
源泉所得税額の差異も実績管理しているので、調査官にとって否認事項
(指導項目)を発見せずには帰れません。
勢い何とか是認(指導事項もないパーフェクト)を避けたいと必死に
重箱の隅をつついて来ます。
会社側がきちんと経理処理を行えば行うほど、重箱の隅をつついてくるのは
現実に即していません。
経理処理をいい加減に行っている会社にはペナルティを、正確で誠実な経理を
行う会社にはアドバンテージを与えるべきです。
□税務署員の福利厚生と生活
まず驚いたのは、余り公になっていませんが、全国の税務署で亡くなっている人
はほぼ毎月一人はいて、60歳から65歳までで総税務職員の3割が亡くなるとのこと
です。
またどんな嫌がらせを受けるかわからないので、家の表札は出せないし、
電話帳に電話番号も載せられません。。
プレッシャーも相当と思いますし、誰からも喜ばれない仕事とは思いますが、
まさか死んでいる人まで出ているとは。。
癒着があるとまずいので、転勤も遠くに飛ばされます。
そのため、単身赴任が多いのですが、最近「公務員の社宅は家賃が安い」と
批判を受けたため、社宅自体が無くなりつつあり、かつ家賃は上昇傾向だ
そうです。
公務員年金も最近は減少傾向で、税務署長の給与でも年間で700万円程度なので、
激務を考えるとかなり安めでしょうか。
残業に関しては、税務署は午後5時15分が定時ですが、マルサといわれる
東京国税局査察部では、配属になった時には「寝袋を持っていけ」と言われ、
そのビル(財務局)の地下は宿泊室となっていて別名「霊安所」と呼ばれている
そうです。
最近情報漏えいが大企業で頻発していますが、マルサから情報漏えいが無いと
いう噂は、「家に帰さないため情報が漏れない(苦笑)」からでしょうか。。
□税務署の環境
税務署自体に予算はあるにしても、全ての諸官庁の予算を使った後に財務省・
税務署にお金をまわすため、庁舎の改修も全省庁の中で一番後回し、
また電気もなるべく使わないため常に電燈を消して回る習慣(泣)が根付いて
います。
会計監査院にはクレームを受けたことがなく、無駄遣いは一切なしなしというの
が「誇り」とのこと・・
ちょっと「誇り」の持ち方が違っているような気がしますが・・
税務署に入署するとコピーは両面コピーが当たり前、プリンターが壊れても自分
で修理する技量が身に付きます。
また名刺は署内で印刷し、一般の人が来た時に出すコーヒーも署員のお金で
賄っていると聞くと、税務署に行った時に出されたコーヒーも飲めなく
なりそうです。
全て税務署員から聞いた話ですので、話半分としても(公務員なので嘘は
言ってないと思いますが)民間よりかなり悲惨な状況です。
と言って無駄な税金を払うつもりは毛頭ありませんが、相手のバックグラウンド
を考えながら税務調査の交渉をすると、また違った対応ができそうです。