Columnコラム
税務調査~税務署の内部事情
2012 年 4 月 18 日税務調査は、確定申告が終わった3月15日から、5月の終わりまでが
上半期のピークです。
税務署員は7月の初旬に異動なので、6月末までに手がけた調査を
終わらせる様です。
私も今年はあちこちの調査を掛け持ちで対応しています。
税収の関係もあるのでしょうが、昨年下半期から、直近で売上高、
利益額が上がってきている会社には万遍無く調査が入っています。
きちんと納税しているにも関わらず、
これ以上税金をとられてはたまりません。
税務調査前には、きちんと論点を整理して臨む様にしてくださいね。
税務調査をいくつも対応していると、税務署員から面白い話を
聞くことがあります。
例えば、税務署の内部事情についてです。
税務署の部署は、法人課税部門、個人課税部門、資産部門など
いくつもの部門に分かれています。
また、法人税部門なら、第1部から第10部までというように
部門も幾つかに分かれています。
その部ごと(第1部門から第10部門)に調査を行う上での特徴が
ある様なのです。
〇強面の部
ヤクザまがいのコワモテの人が集まっている部があります。
この部が調査する企業は、ヤクザのフロント、歌舞伎町などの
飲食店など、かなり柄の悪い会社のようです。
不正を暴くことを求められている部です。
〇必ず否認をとる部
会社によっては、当たり前の税金も納めたく無い会社もあります。
主に納税の意識が低い会社に調査に入り、必ず追徴税をとってくる
部です。
〇企業データを集める部
調査中に特定の興味を引かれた企業データを隠密で収集する部
幅広く集めたデータを集計して、不正を行っている可能性のある
企業の調査のため、他の部署への協力を行っています。
ちなみにこの部の若手はエリートです。
〇銀行回りの専門部
銀行で各企業の名寄せを行い、隠し口座等を調べます。
銀行は税務署の名寄せには必ず応じなければならないため、
簿外の口座はかなりの確率で発見されます。
というように、税務署の地域性(たとえば新宿歌舞伎町など)も絡んで、
それぞれの部に特徴を持たせている様です。
これ以外にも、
少子高齢化は税務署にも及んでいるようで、伝統的な調査手法の
継承にも最近取り組んでいます。
優秀なベテラン調査員が所轄の税務署に配置され、
若手の署員と一緒に調査をして、調査手法を学んでいます。
調査手法も伝統工芸と一緒で、マニュアルではなく、
人から人へ引き継がれていると聞き、驚きました。
※今回の内容は、調査のたびに税務署員と雑談をする中で
聞き貯めた内容です。
確認はとれませんので、ご配慮ください(笑)。
また最近の税務調査で気になった案件ですが、
税務調査員が、うちのクライアントの調査の中で、ある宗教法人の
管理口座だけを集中して調べて行きました。
クライアントは、その宗教法人の不動産の管理を行っていたのですが、
宗教法人の簿外のプール口座と疑われた様でした。
広告や旅行の代理店の取引先などに良くありますが、売上を立てさせて、
裏で個人口座にキックバックさせる手法です。
これは、税務調査で見つかると、キックバック分はすべて役員賞与
として所得税が取られているのに、法人税法上は会社の経費(人件費)に
なりません。
所得税、法人税を両方とられる、いわゆるダブルパンチというやつで、
かつ『仮装・隠蔽』を行ったということで、重加算税も課されます。
得意先の要望を聞いてあげたいという気持ちはわかりますが、
グレーな処理をし過ぎると、後で大変な事になります。
お気を付け下さい。