Columnコラム
評価される『決算書』の書き方について
2011 年 10 月 3 日初めにお知らせです。
10月からクライアントに対する税務監査を行う求人を行います。
今回は1名の募集です。
●コミュニケーション能力がある、素直で明るい方
●法人税の申告書を作成でき、消費税の知識がある方
●税理士試験を一科目でも合格している方
税理士事務所はあくまでお客さまに対するサービスを生業にしていると
考えています。
経営者のサポートをするには、経営者と同じ目線で話ができるように
精進してもらわなければなりません。
興味のある方は、直接宮原までどしどしご応募ください!
お待ちしています!
求人に言づけてですが、最近リーダーシップや組織論について
考えることが多くなりました。
中小企業の経営者の最終的な職務は「営業」・「企画」・「教育」だと
思っています。
細部は部下に任せるにしても上記の方向性は必ずトップが決めなければ
なりません。
ただ、この中で一番難しいものは「教育」の延長にある「組織」作り
ではないかと・・
最近は価値観も様々で人々を一つの方向に引っ張っていく事は、思った
以上に難しくなってきています。
また組織が大きくなるにつれて人への評価の仕方も異なってきます。
ここに気づかない場合、組織がいつの間にか崩れていってしまう
場合があります。
中小企業の経営者は、時間の合間を縫って、現場をみて、社員が、
そして、組織が何を考えているか把握する時間を持つべきでは
ないでしょうか。
さて、今回は【決算書】の書き方についてお話します。
『決算書』は単に税務署に対して仕方なく作成する書類ではありません。
金融機関や、投資家はもちろん、信用調査を行う上でも必ず確認を
されるのが『決算書』です。
もちろん経営者にとっても、自分が1年間行ってきた経営に対する
通信簿という意味合いがあります。
そのため、『決算書』は「誰に見せても」等しく評価されるもので無くては
なりません。
しかし、実際『決算書』を自身の納得がいくように作成している経営者は
ほとんど見受けられません。
『決算書』自体の説明が無いため、内容がよくわからない、また過去の
データだから、見てもしょうがない・・という話も良く聞きます。
でもこれでは、みすみす自社の評価を下げてしまっているような
ものです。
では経営者自身の通信簿である『決算書』は、「誰に見せる」又は
「誰が見る」モノなのでしょうか。
会社ごとに『決算書』を見る対象は異なると思いますが、中小企業の場合
●経営者
●税務署
●金融機関(銀行ほか)
●信用調査機関(帝国データバンクほか)
●投資家(株主・ベンチャーキャピタル)
上記5者から均等に評価されるような『決算書』でなくてはなりません。
ここで難しいのは、片方から評価される『決算書』は片方からは
評価されない場合があるということです。
◎経営者向け(投資家向け)
例えば投資家が好む『決算書』は、利益が多大にでている『決算書』です。
なぜなら、利益の中から配当は分配されるため、株主は利益がたくさん
でている『決算書』を評価します。
ただ、経営者にとってはどうでしょうか。
当然利益が莫大に計上される『決算書』は好ましいものですが、
まだ創業して間もなく、業績が急拡大している企業は資金繰りが大変です。
利益がたくさん出ているということは、当然納税も増えてしまいます。
この場合、税金を払うより、仕入や、人件費などに資金を回さないと
会社がつぶれてしまう場合もあります。
よって利益をある程度削ってでも、費用(支出)を増加させる処理を
採用する必要があります。
企業もステージや状況によって会社の見せ方を変えていかなくては
なりません。
◎税務署向け
前年度と比較して売上高が増加し、利益が増加すると税務調査が入る
可能性が高まります。
また、売上高粗利益率が前年と比較して異常に増減していると、
これも調査が入る確率が高まります。
※売上高粗利率=売上高に対する売上総利益の割合
損益を恣意的に操作する方も見受けられますが、棚卸資産
商品、製品、仕掛品等の棚卸資産を過度に動かしてしまうと、
いらぬ税務調査を招く恐れがあります。
なぜ粗利率が変化したのか、
●取り扱っている商品が異なった為
●業務内容が異なった為
税務署に対して粗利率が変化した理由をきちんと説明できる
処理を採用してください。
◎金融機関向け
『営業利益』、『経常利益』を黒字にすることは心がけるべきです。
もし、当期が赤字であっても、『欠損会社』にならない様にして
ください。
『純資産』がマイナス(△)になってしまうと、保証協会付けの
セーフティネットでない限りは将来の融資はほぼできないと言っても
良いでしょう。
また『減価償却費』の計上は他の対象では余り気にされませんが、
金融機関向けとしては少しでも計上するようにしてください。
このほか信用調査会社向けでも注意すべき点もあります。
粉飾ではなく、税法上、会社法上、もしくは財務諸表規則上に
則った合理的な解釈ができる処理であれば、『決算書』を少しでも
評価されるように処理していくことは無駄ではないと思います。
これから決算を迎える時、会社の顔ともいえる『決算書』に充分配慮
してみてください。
企業の『これからに』大きく影響を与える事は間違いありません。