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逆ハーフタックス(養老保険)について~大事な注意点です!

2012 年 8 月 16 日

先週東京商工会議所本店で「事業承継セミナー」を開催させていただきました。

東京商工会議所さんの主催のため、非常に多くの方がお集まりくださいました。

今回のセミナーでは、少しでも多くの中小企業の経営者の方々に、「解散(清算)
しないで、事業を承継してもらいたい」という思いをお伝えしたつもりです。

後継者や資金問題等、事業承継には様々な問題がありますが、せめて自社株
や税務の問題で、承継をあきらめないで欲しいのです。

22,23年の税制改正で、清算(解散)は、「財産法」から「損益法」へ改正されて
います。

清算ではなく、株を譲渡する方が税務上もメリットがあるのです。

いずれにしても、今の事業を存続させるために何ができるのか、考えて頂ける
一時になっていれば幸いです。

 

さて、今回は、

「逆ハーフタックス(養老保険)」という生命保険をご存知でしょうか?

最近身近なクライアントの社長からも加入したとの話を良く聞くように
なりました。

今日はその中で懸念している事をお話しします。

もうご存知とは思いますが、通常の「養老保険」とはどのような保険でした
でしょうか。

 

〇養老保険は「死亡保障」と「貯蓄機能」がセットになった生命保険です。

『契約条件』

● 契   約   者 :会社

● 保険料を支払う者  :会社

● 満期保険金の受取者 :法人

● 死亡保険金の受取者 :遺族

 

『経理処理』

保険積立金(資産)/現金

保険料(経費)  /現金

1/2は資産、1/2は経費です。

 

これに対して、

〇逆ハーフタックス(養老保険)は、

『契約条件』

● 契   約   者 :会社

● 保険料を支払う者  :会社

● 満期保険金の受取者 :本人

● 死亡保険金の受取者 :法人

満期保険金と死亡保険金の「受取人」が一般の養老保険と
逆になっています。

 

『経理処理』

給与(経費) /現金(満期保険金に対する支払)

保険料(経費)/現金(死亡保険金に対する支払)

逆ハーフタックスは「給与+保険料」で、「全額が経費」とされています。

最近全損の保険がほぼなくなったことから、この保険が改めてクローズ
アップされてきています。

 

しかし、この保険の運用について懸念事項があります。

それはこの保険の「契約期間はいつからか?」ということです。

ほとんどの法人が、この保険料を「年払い」で支払っていると思います。

この場合、「年払い」部分の保険の契約は翌事業年度の期末までのサービスの
提供分となっています。

「保険料」の部分は「短期前払費用」なので、「翌期の経費」を当期末に支払う
ことで、「当期の経費」として問題ありません。

 

ただ、「給与」の部分は、2つの疑問が浮かびます。

〇「年払い(一時払い)」のため、「給与」で支払った部分は、
「役員賞与」となるのか?

〇「翌期の給与」を「年払い(一時払い)」で支払うことで「当期の給与」に
することができるのか?

 

まず、前者は「役員賞与」ではなく、「役員給与」としての計上が可能です。

これは、「役員給与」のうち、「会社で負担する役員への支出」は、
「実際に受ける経済的利益が毎月おおむね一定かどうか」が肝心で
「毎月の支払い」は関係ないためです。

次に後者ですが、「年払い(一時払い)」の「翌期の役員給与」を「当期の給与」と
する事は難しいと思います。

なぜなら、「役員給与」の部分に関しては、「短期前払費用」の適用が
無いと思われるからです。

そのため、「役員給与」部分は「前払費用」とされる可能性が高く、保険料
支払時の処理は、

 

『経理処理』

前払費用(資産) /現金(満期保険金に対する支払)

保険料(経費)  /現金(死亡保険金に対する支払)

となります。

 

加入した方の話では、事業年度末で保険契約を締結し、年払いとした全額を
支払った期の期中の経費とし、「役員給与」に関わる源泉税額のみを税務署に
支払っているようです。

しかし、源泉の支払いは、翌期の「役員給与」計上時が妥当と思われます。

これから逆ハーフタックス(養老保険)に加入する方は、この点に十分に
気を付けて加入してくださいね。

不明な点がありましたらいつでもご連絡ください。