Columnコラム
23年度税制改正~所得税
2011 年 3 月 10 日先日お客様から
「税務署から昨年の法人申告書が出ていないというお尋ね書が
来ている」と不審そうな声で連絡を受けました。
あわてて、その会社の電子申告の履歴を見ましたが、
確かに電子送信しています。
クライアント先にお邪魔して内容を見ると確かに「法人税
申告書未提出のためのお尋ね」です。
税務署に電話して、電子申告している旨を伝え、申告日時
と法人番号を伝えるとにわかにあわてた様子で、折り返し
掛けなおしますと電話を切られてしまいました。
その後連絡がきて
「大変申し訳ありません、確かに申告されていました。
郵送の手続きを間違えたようです」
「郵送の間違いはしょうが無いにしても(本来はあってはならない
ことですが!)申告データが不明ということは無いですよね。」
「データがどこかに行ってしまったということはありません!」
しかし、防衛庁の情報漏えいもありましたが、税務署のデータ
管理も本当に大丈夫なのかと一抹の不安を感じてしまいました。
(ちなみに千葉県の某税務署です)
第2回目は所得税についてです。初回に引き続き減税
となる場合は●、増税となっている場合は▼としました。
(変わらない場合は■となっています)
なお 税法上の中小法人(資本金1億円以下)に絞って記載しています。
※1億円を超えている法人の方はご連絡ください。
また、必ず適用年度を確認してお読みください。
23年度税制改正では、資産家及び高額所得者に絞って増税する
と読み取れます。
▼給与取得控除の見直し
サラリーマンの場合、個人事業者と異なり、仕事に必要な経費が
ほとんど認められません。
そのため、あらかじめ一定の金額を給与から差し引いて(これを
経費とみなす)所得税を計算します。
この一定の金額が従業員と役員等に区分され、高額所得者に限り
減額となりました。
※役員等
役員等は法人の取締役、執行役員、監査役、その他議員にも
及びます。
〇従業員
給与総額 税額の差(対前年)
2,000万円 82,500円
3,000万円 300,000円
4,000万円 500,000円
〇役員
給与総額 税額の差(対前年)
2,000万円 82,500円
3,000万円 540,000円
4,000万円 980,000円
年収4,000万円の役員だと22年度と23年度で比較すると
約100万円も手取りが減ってしまいます。
社長や責任ある役職にいる方が報酬が高いのは当たり前のことだと
思います。
責任ある立場に立って、高い報酬を得ようと頑張る人が
いなくなってしまう改正とならなければよいのですが・・
平成24年分以後の所得税について適用
▼役員退職金の課税方法見直し
役員として勤続年数が5年以下の人は退職金の課税方法が変更になります。
現在 (退職金-所得控除)×1/2×税率
これから (退職金-所得控除)×税率
具体例として上げてみます。
勤続年数5年の人が、退職所得1,000万円をもらうことになると、
現在 (1,000万円-200万円)×1/2×税率=372,500円
これから (1,000万円-200万円)×税率=1,204,000円
差引83万円超も税額に差が出てきてしまいます。
今後勤続年数も節税の大きな要因になってきます。
平成24年以後の所得税について適用されます。
▼成年扶養控除の改訂
今までは、23歳から69歳までの「成年扶養親族」がいれば
一律に「成年扶養控除」が適用されました。
今後は合計所得400万円以下の所得者の家庭に
〇65歳以上70歳未満の高齢者
〇障害者の方
〇学校教育法上の高校、大学生及び一定の要件を満たす専門学校生
がいる場合は38万円/人の控除が認められます。
しかし、上記の例外を除き、合計所得が400万円以上の世帯では
(給与所得者の場合568万円)「成年扶養控除」は認められなくなります。
単にアルバイトをしながらの浪人生では今後控除が認められないなど、
多くの家庭に影響が出る改訂です。
平成24年以後の所得税について適用されます。
■上場株式等の配当・譲渡所得の軽減税率延長
〇配当(上場株式)
〇譲渡所得
10%(所得税7%、住民税3%)源泉税の軽減税率は2年延長されます。
また20%税率の適用は平成26年1月からとなっています。
重要な改正をかいつまんでお話しましたが、23年度での所得税の
税制改正をもっと知りたい場合はご連絡ください。