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Columnコラム

所長コラム

23年度税制改正~相続税

2011 年 3 月 31 日

震災後皆様いかがお過ごしでしょうか。

会社や身内の方で被害に遭われた方はお身体大丈夫でしたでしょうか。

直接被害のあった東北、東関東以外でも影響は出始めています。

停電の影響を直接受ける飲食業以外でも取引のキャンセル・
イベントの自粛などで売上が急激に減少してきています。

過去の不況時と比較すると、バブル崩壊時の資産価額の下落より、
今回はリーマンショック時と同じ売上高の減少が見込まれます。

リーマンショック時は売上高が急激に減少したことから、人件費や
地代家賃など固定費を膨らませていた企業が倒産に追い込まれました。

リーマンショックから立ち直りかけた矢先だけに非常に残念ですが
改めて固定費を削減する必要が出てきています。

もしくは、売上高が回復するまで銀行につなぎ融資をお願いする必要があります。

リーマンショック時は固定費の削減に手間取った企業が最終的に
資金繰りがショートし倒産に追い込まれました。

固定費の3カ月~半年の余裕資金が手元にあるか、改めて見直してください。

融資交渉やリスケジュールの必要がある場合はまずご連絡ください。

資金繰りは一刻を争います。

機敏な決断をしてください。

 

23年度税制改正の第3回目は相続税についてです。

初回に引き続き減税となる場合は●、増税となっている場合は▼としました。
(変わらない場合は■となっています)

必ず適用年度を確認してお読みください。

 

▼基礎控除の引下げ

今までの控除額を100%とすると60%に引き下げられています。

この影響は課税範囲の拡大です。昨年度まで課税されなかった方でも、
今年は納税対象となる可能性があります。

〇今まで
定額控除 5,000万円 + 法定相続人の数×1.000万円

〇これから
定額控除 3,000万円 + 法定相続人の数× 600万円

平成23年4月1日以後の相続から適用されます。

 

▼保険金の非課税限度額

今までは、法定相続人であれば、1人当たり500万円が無条件で控除されました。

今回の改正で、保険金の非課税枠がかなり狭まったと考えられます。

〇今まで
500万円× 法定相続人の数

〇これから
500万円× 法定相続人の数(条件付き)

※条件(未成年者・障害者・同居扶養されている人)

平成23年4月1日以後の相続から適用されます。

 

▼最高税率及び税区分の見直し

〇今まで
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15%
5,000万円以下 20%
1億円以下   30%
3億円以下   40%
3億円超    50%

〇これから
1億円以下 今までと変わらず
2億円以下   40%
3億円以下   45%
6億円以下   50%
6億円超    55%

平成23年4月1日以後の相続から適用されます。

具体例を挙げてみます。

 

《前提》

資   産;a.金融資産1億円b.都内のマンション1億円c.保険金1億円
      合計3億円

被相続人;(無くなられた方);お父さん

法定相続人;(財産を引継ぐ人);お母さん(お父さんと同居扶養)
               息子(独立)、娘(独立)

《相続税計算(簡便化しています)》

〇今まで

課税資産;3億円-定額控除(8,000万円)-保険非課税(1,500万円)
     =2億500万円

    ;定額控除 5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

    ;保険非課税枠 500万円×3名(母・息子・娘)=1,500万円

税 額;2億500万円×40%=8,200万円

 

〇これから

課税資産;3億円-定額控除(4,800万円)-保険非課税(500万円)
     =2億4,700万円

    ;定額控除 3,000万円×600万円×3人=4,800万円

    ;保険非課税枠 500万円×1名(母)=500万円

税 額;2億4,700万円×45%=1億1,115万円

 

《税制改正の結果》

差  額;1億1,115万円-8,200万円=約2,900万円超となり、
     同じ条件下でも約3,000万円の差が出てしまいます。

 

●未成年者控除及び障害者控除の引き上げ

法定相続人の中に未成年者や障害者がいる場合は、改正後控除額が
60%強引き上げられます。

〇今まで
・未成年者、障害者共に控除額が6万円/年

〇これから
・未成年者、障害者共に控除額が10万円/年

平成23年4月1日以後の相続から適用されます。

 

●相続時精算課税の見直し

今までの相続時精算課税制度とは親世代から2,500万円/人
まで贈与時の税金を非課税とし、相続時に課税するものでした。

22年までは親から子供に対する資産の移転まででしたが、
孫が対象に追加されることによって世代間の移転がより
促進される可能性が出てきました。

〇今まで
贈る方;65歳以上
贈られる方;20歳以上の法定相続人(子供)

〇これから
贈る方;60歳以上
贈られる方;20歳以上の法定相続人(子供)に「孫」が追加

具体的には、

贈る人;親(2人)から祖父母(4名)まで拡大

贈られる人;「子供」及び「孫」までかなりの人数に拡大

今後は祖父母世代から子及び孫までの世代に対し、2,500万円/人
まで贈与できるため、相当額の世代間移転が期待できる制度です。

23年1月1日以後の贈与について適用されます。

 

●▼贈与税の税率区分

贈与税の税率区分が変更になっています。

増減税が一体になっているので、詳しくはお問い合わせください。

〇20歳以上の人が親、祖父母から受けた贈与

(相続時精算課税の対象とならない贈与財産)

4,500万円を超えた段階で税率が55%となり増税となっています。
(4,500万円以下の場合は減税となっているものあります)

〇通常の贈与

3,000万円を超えた段階で税率が55%となり増税となっています。
(3,000万円以下の場合は減税となっているものもあります)

23年1月1日以後の贈与について適用されます。

 

かなり細かく改正がなされているので、実際に相続対策を
行いたいと思われる方はまずお問い合わせください。