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25年税制改正について~その1 所得税、相続・贈与税の注意点

2013 年 4 月 22 日

仕事に追われていると、読書もできないという方が多いのでは
ないでしょうか。

私も最近ほとんど本が読めていません。

その中で何とか時間を見つけて読んだ本が、2013年「本屋大賞」を
受賞していました(『海賊とよばれた男』百田尚樹著)。

昭和28年に起こった出光石油の「日章丸事件」を題材としたものですが、
第2次世界大戦後、ここまでグローバルな日本人がいたことを初めて知り
ました。

また、百田氏の著作では『永遠の0(ゼロ)』が秀逸です。

これも第2次世界大戦中のゼロ戦(戦闘機)搭乗員の話ですが、久しぶりに
感動・号泣!できる本でした。

いずれも、日本人の素晴らしさを謳い上げている秀作だと思います。

仕事で疲れた時にはお奨めの本です(笑)。

 

さて

今年(25年)の税制改正で把握すべき点を税目別に分けて挙げてみました。

 

〇所得税

●所得税の最高税率の引き上げ

個人の所得税では、最高税率引き上げが行われました。

所得4,000万円超の人ですが、45%の税率となり、地方税と合わせると、
55%と所得の半分を超える納税となります。

これは27年1月からの所得税から適用です。

 

●住宅ローン控除

住宅ローン控除が25年12月末から29年12月末まで、4年間延長されました。

住宅ローン控除は、居住年から10年間「借入残高の1%税額控除」が
できる制度です。

今回の改正で、最長29年12月末に入居した場合、39年12月末まで最大
「一般住宅」で400万円の控除が受けられるようになりました。

住宅ローン控除は、消費税増税を行う上で、消費を失速させないための
意味合いで改正されているため、消費税に絡む注意点があります。

自宅を建てる場合、建築には時間がかかります。

しかし、消費税は26年4月1日キッカリで8%に引き上げです。

26年4月より前に工事を依頼した物件についても、消費税を8%で
支払わなければならないのでしょうか。

建築業者と25年9月までに「請負契約」を締結した場合、26年5月に入居と
なって、業者に26年6月に支払いを行った場合は、消費税は5%分だけ
支払えば良いのです。

ただこの場合、ローン控除額は最大200万円となり、消費税5%で購入した
人は、居住開始日に関わらず400万円控除は受けらません。

つまり、消費税を8%支払った人しか400万円ローン控除は使えないのです。

 

〇相続税

●相続税基礎控除引下げ

もうみなさんご存知と思いますが、相続税の基礎控除が現行の6割と
なりました。

改正前;5,000万円+1,000万円×法定相続人

改正後;3,000万円+600万円×法定相続人

具体的に言うと、4人家族(夫・妻・息子・娘)でお父さんが亡くなった場合

改正前;5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

改正後;3,000万円+600万円×3人=4,800万円

となり、3,200万円も基礎控除が少なくなっています。

この改正のため、「小規模宅地等の減額」等の節税対策を上手に行わないと
東京23区の南西に親が住宅を持っている家庭は、納税となる可能性が
高くなってきました。

アベノミクスで資産インフレになる可能性が高いので、居住用不動産の
節税対策は必須です。

 

●相続税・贈与税率構造見直し

相続税・贈与税ともに最高税率が55%です。

相続税課税上の資産額では6億円を超えてから、贈与税課税上の資産額では
3,000万円(親子の場合は、4,500万円)を超えてからとなっています。

いずれも27年1月1日以後の相続税・贈与税から適用されますが、納税が半分
以上となる範囲が出てきたのは、ショックです。

 

●教育資金の一括贈与

麻生財務相の肝いりの改正で、子又は孫に対して一人当たり1,500万円まで
贈与しても非課税となりました。

「25年4月1日から27年12月31日までの贈与分のみ」ですが、親・もしくは
祖父母が教育資金を金融機関に信託した場合、30歳未満の子または孫に
贈与できます。

手続きとしては、まず、金融機関に贈与したお金を預けます。

その後、金融機関経由で税務署に「非課税申告書」提出します。

そして、教育資金として使用する場合は、金融機関がこれを記録して、
税務署に届け出ることになります。

まだ詳細が詰められていないため、いくつか注意点があります。

まず教育資金に塾、習い事、留学費用、下宿代等が含められるか
まだ不明です。

また、おカネを受け取った子供(孫)が30才未満で亡くなった時は、贈与税は
掛かりませんが、未使用残額が相続財産に取り込まれるのかも不明です。

いずれにしても、30歳以内に学費として使用しきれない場合は、30歳に
到達した時点で贈与税がかかります。

小学校から大学までの学費だけだと、私立の医学部にでも行かない限りは、
使いきれないかもしれません・・。

 

次回も所得税、相続・贈与税について目立たないけど重要な改正点について
解説していきます。

 

《後書》

今回はなるべく新鮮なうちにと、25年税制改正の解説を優先しました。

そのため、インドネシアの税制については、税制改正の解説後に
記載して参ります。

しばらくお待ち下さいね(笑)