LAMTIP PARTNERS Co., Ltd.

Columnコラム

所長コラム

25年税制改正について~その2 所得税、相続・贈与税の注意点

2013 年 5 月 7 日

このたび当事務所は中小企業庁が指定する「経営革新支援機関」に
認定されました。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/

と言っても、ある程度のコンサルティングを行っている専門家であれば
認定されるようなのですが・・(笑)

ただ、今回中小企業庁には結構予算が出ているようで、行政の本気度は
かなりのものだと思います。

アベノミクス「三本の矢」のうち「成長戦略」が、今後の改革の成功の可否を
握っているので、当たり前かもしれませんが・・・

今後色々な施策が出てくると思いますので、メリットがあると思われるものは
すぐお知らせしていきたいと思います。

 

今回ご紹介するのは、24年度補正予算成立を受けて行われる融資制度です。

 

「経営支援型セーフティネット貸付」

http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2013/0227shikinguri3.pdf

従来のセーフティネット制度融資と同じ取組ですが、環境変化に対応する
ものとの触れ込みのため、現在の保証とは別枠の可能性があります。

 

「中小企業経営力強化資金」

http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2013/0227shikinguri4.pdf

経営多角化・事業転換のための融資のため、新しい分野への展開を考えて
いる企業には朗報です。

いずれも出たばかりの制度なので、必ずご確認をお願いします。

 

では25年税制改正について解説していきます。

●相続時精算課税

もうご存知の方も多いと思いますが、2,500万円までは無税で相続人へ
おカネを贈ることができるという制度です。

2,500万円を超過した部分は、一律20%の贈与税がかかります。

改定前までは、

△「65歳」以上の親が20歳以上の「子供」に財産を贈ることが出来ましたが、

今回の改定後は

△「60歳」以上の「親または祖父母」が、20歳以上の「子供又は孫」に
財産を贈ることができるようになりました。

27年1月1日以後から適用になります。

 

この法律のデメリットは、

△親の相続時に子供に贈与した財産が再度相続財産に加算されてしまい、
相続財産の減額にはならない。

△110万円/年の暦年贈与が出来なくなる、という事です。

しかし、相続時に加算される財産は、「贈与時点で財産評価」した金額
なので、以下の2点の財産を贈与した場合は、実はメリットがあります。

△将来財産価値の上がるモノ

相続税評価と市場価値(時価)に差額があるモノ

たとえば、タワーマンションの最上階などは、1階の物件と比較すると
「取引金額(時価)」には1億以上の差が出るかもしれません。

しかし「税務上の財産評価」では1階も40階も価値は一緒なのです。

40階の時価が高いマンションを贈与しておくことはかなりの節税になります。

△将来収益を生むモノ

築年数も古く、返済する借金も無い賃貸不動産を所有している場合、
固定資産税評価額も低いものです。

しかし、将来にわたって賃貸料を生んでくれるため、早めに贈与すれば
親の財産を減らすことになります。

 

●暦年贈与

今回の改正には入っていませんが、年1回110万円ずつ子供に贈与する方法は、
特に孫に送った場合は、1世代相続を飛ばせるので、根強い人気があります。

しかし、暦年贈与は「否認される場合もある」ので、その注意点を指摘します。

まず、「贈与」とは、「あげる方」と「もらう方」の双方合意があって
初めて成立する契約です。

つまり「もらう方」が受け取った事実を知らない場合は否認されます。

そのため注意すべき点は、

△贈与契約書の有無

△通帳・実印の保管状況(「もらう方」が通帳・実印を保管しているか)

慎重な方は、110万円を超える金額を贈与して、贈与申告書を毎年作成したり、
「もらった方」に預金を一時引き出させたりしています。

 

〇証券取引税制

●少額投資非課税制度(ISA)

ISAに該当する一人(1口座)年間100万円まで取引した有価証券の譲渡益、
配当は非課税となりました。

26年1月1日から35年12月末までの10年間のうちの5年間で500万円までと
なります。

値上がり益には全く税金はかからないため、この口座の効果的な使い方は、
新規公開株等値上がり益を狙える株式を購入しておくことだと思います。

 

●上場株式の軽減税率

25年12月末で上場株式の配当及び譲渡所得の10%軽減税率は廃止と
なりました。

 

●非上場株式の譲渡所得等

上場株式等にかかる譲渡所得と、非上場株式にかかる譲渡所得は平成28年
1月1日以降損益通算できなくなりました。

自社の株式評価益と、上場株式の評価損を相殺できなくなるため、同族会社
オーナーにとっては大きな改正です。

 

●特定公社債利子の申告分離課税

同族会社が発行した社債の利子で、その役員等が支払いを受けるものは、
平成28年1月1日以降総合課税となってしまいました。

これも、私募債を節税対策として使用していた場合大きな改正となります。

以上、不明点がある場合は、ご連絡ください。