Columnコラム
25年税制改正について~その3 法人税の注意点
2013 年 5 月 17 日5月は会計事務所にとって1年で一番忙しい繁忙期です。
最近は外資系企業の影響もあって12月決算が増えたので、2月が
忙しくなって来ましたが、まだまだ3月決算法人もかなりの数です。
3月決算が多いのは、上場企業が株主総会を同時期に行いたいためで、
中小企業にとって、特段メリットはありません。
決算期をいつにするか重要なポイントは、その会社にとって「1年で一番
儲かる月」が何月かという事です。
つまり「1年で一番儲かる月」を事業年度の初めに持って来れば、その後12ヵ月
かけて儲けを相殺できるのです。
例えば、3月決算なのに2月で1億円の利益が出てしまった場合、「決算期を変更
して」その直前の1月で決算を行ってしまえば、2月から12ヶ月分の経費を
計上できるわけです。
突発的な利益が出てしまった場合、ぜひ実践して頂ければと思います。
さて
今回は25年度の法人税の税制改正について解説して参ります。
〇法人税
●交際費
もうご存知と思いますが、25年4月1日から始まる事業年度では、交際費は
800万円まで全額経費となります。
交際費あってこそ円滑な営業ができる場合もあると思いますので、25年税制
改正の中で最も注目されている改正点です。
次に人(人件費)を増やすと節税できる税制改正が行われましたが、
以下に記載する『雇用促進税税制』と、『所得拡大促進税制』のいずれか
選択適用となりました。
●人員増額の場合『雇用促進税制』
25年4月1日から26年3月末日までの間に始まる事業年度の期間内に雇用者を
一人増やすごとに「40万円の税額控除」を受けられます。
ただし、法人税額の20%(大企業は10%)が限度となっています。
また適用を受けるためには、下記△のたくさんの要件を満たす必要があります。
△「雇用促進計画」をハローワークに提出
忘れがちですが、まず『雇用促進税制』を受けようとする事業年度が開始
されてから2ヵ月以内に「雇用促進計画」をハローワークに提出しなければ
なりません。
「雇用促進計画」とは、社内でどの様な求人申し込みを行うかあらかじめ計画を
立てることで、その計画に従って求人を行っていきます。
加えて、適用事業年度終了時から2ヵ月以内に「雇用促進計画」の達成状況の
確認をハローワークに求めなくてはなりません。
そしてこの確認を受けた「雇用促進計画」の写しを申告書に添付して税務署に
提出して始めて適用となります。
△離職者に対する基準
『雇用促進税制』を受けようとする前の事業年度から「会社都合」の離職者を
出してはいけません。
退職者は「会社都合」だと、すぐ失業手当がもらえますので、「会社都合」に
して欲しいと言ってきますが、この税制を使う場合は、自己都合で退職させて
ください。
△雇用人数に対する基準
当該事業年度に、雇用者の数を『2人』(大企業は5人)以上増やし
かつ
「該当する事業年度の末日」と「前年度の事業年度の末日」を比較して
人数を『10%』以上増やす
ことの両方が求められています。
つまり20名を超える雇用者が在職する会社は、2名の増加では10%以上に
ならないため、注意が必要です。
※「雇用者」とは、「雇用保険に加入している人」の事を指します。
△給与の支給額基準
雇用者に支払った給与の支給総額を前年度上に増額させる必要があります。
給与には役員に対する報酬は含まれないため、雇用者に支払う給与を実質
増加させ無ければなりません。
△採用の基準
ハローワークで採用する必要はありませんが、「雇用保険の一般被保険者」
(1週間の所定労働時間が20時間以上で、引き続き31日以上の連続した雇用)
であることが必要です。
なお、パートやアルバイト従業員も含みます。
●給与増額の場合『所得拡大促進税制』
25年4月1日から28年3月31日までの間に始まる事業年度で、
「給与等支給額の増加額の10%が税額控除」されます。
なお、法人税の20%(大企業10%)が限度となります。
適用を受けるには、以下の△要件をクリアする必要があります。
△基準年度基準
「25年4月1日以降1年以内に始まる事業年度」を基準年度とし、その年度と
比較して5%以上給与総額を増加させる事
△前事業年度基準
給与が前事業年度を下回らない事
△平均給与基準
当年度の平均給与が前年度の平均給与を下回らないこと
給料の高い人を辞めさせて、安い人を雇用しても、前年度の平均給与を
増額させることはできないため、基準はクリアできません。
この施策は個人の所得水準を底上げさせるための政策です。
●商業・サービス業等投資促進税制
25年4月1日から27年3月31日までの間に開始する事業年度で、
下記に記載する物品他の「取得価額の30%を特別償却」するか、
又は「取得価額の7%の税額控除」をすることができます。
なお、法人税20%限度が限度となります。
適用を受けるには以下の△をクリアする必要があります。
△指定事業基準
卸売業・小売業・サービス業のいずれかに該当する必要があります。
△認定支援機関基準
認定経営革新等支援機関の助言の元に行わなければならない施策です。
これは弊所もお手伝いができます(笑)。
△取得物品
店舗改修等において、器具備品では30万円以上/台、建築付属設備では
60万円以上/一式となっています。
●設備投資促進税制
25年4月1日から27年3月31日までの間に開始する事業年度で、下記に
記載する機械装置の「取得価額の30%を特別償却」するか、又は「取得価額の
3%を税額控除」をすることができます。
なお、法人税20%限度が限度となります。
適用をうけるには以下の△をクリアする必要があります。
△事業用生産設備投資額基準
「国内の生産設備他に対する投資額」を「前年度と比較して110%増加」させ、
かつ
「上記の年間投資額」が、「適用事業年度の減価償却費を超え」無ければ
なりません。
なお、建物・事務用器具備品・車・福利厚生施設は除かれます。
抽象的な書き方となってしまいましたので、不明点があればご質問ください。
【追記】
最近昔のメルマガはどこで読めるのかというご質問を受けました。
著者にとっては、とてもうれしい質問でした(笑)。
以前のバックナンバーは弊社HPにございます。
所長コラム
ご興味がある項目があれば、是非ご覧ください。