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Columnコラム

所長コラム

25年税制改正について~その4 事業承継税制

2013 年 6 月 4 日

始めに中小企業庁からの補助金のお知らせです。

『地域需要創造型等起業・創業促進補助金のご案内』

先代からの仕事を引き継いだ後継者が新分野に進出する第2創業や
海外市場の獲得を念頭にした新規創業支援の助成金です。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sogyo/2013/130513ChiikiKekka.htm

http://www.smrj.go.jp/utility/offer/075939.html

 

当社も認定経営画指針支援機関に認定されてから、行政の情報が
タイムリーに入って来るようになりました。

今後使えそうな情報がありましたら、もっと頻繁にメルマガにて公的支援の
情報を流していきます。

ご期待ください。

 

さて、

本日は25年税制改正最後のレポートになりますが、事業承継税制について
解説していきます。

元々は2008年に「経営承継円滑化法」として運用開始されましたが、
使い勝手が良くなく、2012年までの運用実績は全国で600件弱に
とどまっていました。

今回の改正で使い勝手が良くなったため、会社オーナーの今後の事業承継に
おいては、

〇自社株式

〇その他のオーナー資産

と分けて相続を行っていける可能性がでてきました。

流動性が無く、現金化できないけれども、相続税だけは高かった自社株式の
納税猶予が可能になれば、相続時に自社株が高くて納税額が高額になるで
あろうオーナーの相続税がかなり減額できます。

 

では、改正後の『贈与税』『相続税』の納税猶予のポイントを押さえて
いきます。

まず、先代経営者が所有している株式を贈与してもらい、その贈与税を
猶予してもらおうという場合ですが、

□非上場株式等にかかる『贈与税』の納税猶予制度

その効果ですが、先代の経営者から贈与された「株式に対する贈与税が
100%納税猶予」となります。

先代経営者が持っている株式の一括贈与が条件ですが、総発行株式数の
3分の2までが対象となっていますので、かなりの贈与ができます。

ちなみに、自社株式を相続時精算課税で贈与している場合は、納税猶予は
使えません。

 

以下対象となる条件を列挙していきます。

〇認定対象会社の条件

従業員が一人以上の非公開株式会社で、中小企業基本法の中小企業
(税法とは異なる)で無ければなりません。

また、単なる節税対策にならない様、「資産管理会社」も認定対象とは
なりませんが、
事業実態があり、一定の条件をクリアした「資産管理会社」は、認定対象と
なります。

条件はかなり複雑なので、個別にご質問ください。

〇先代経営者(前社長)の条件

前代表取締役であり、親族と合わせると、議決権の50%以上保有して
いなければなりません。

加えて、後継者以外の親族の筆頭株主である必要があります。

〇後継者(現社長)の条件

現在の代表取締役であり、自身と親族で議決権の50%以上保有し、
親族内の筆頭株主でなければなりません。

また20歳以上であり、該当会社で3年以上の役員経験が必要です。

いずれも承継した会社がスムーズに運営できる条件となっています。

〇そして贈与時に、「経済産業大臣の認定」を取得します。

〇事業継続要件

その後、対象株式を継続保有し、贈与後5年間代表取締役として執務し、
会社の雇用も、5年間で平均80%以上継続させる事も条件です。

 

ややこしいですが、次に『相続税』の納税猶予制度です。

□非上場株式等にかかる『相続税』の納税猶予制度

その効果ですが、相続した「株式にかかる相続税の80%が納税猶予」と
なります。

先代経営者が相続前に持っていた総発行株式数の3分の2までの株式が
対象で、相続時に「未分割」である場合は対象となりません。

これも「未分割」だと、その後の承継がスムーズにいかない場合がある
ためです。

 

以下対象となる条件を列挙していきます。

〇認定対象会社の条件

従業員が一人以上の非公開株式会社で、中小企業基本法の中小企業
(税法とは異なる)で無ければなりません。

また、上記の「贈与税の納税猶予」と同様単なる節税対策にならない様、
「資産管理会社」も認定対象とはなっていません。

ただ、事業実態があり、一定の条件をクリアした「資産管理会社」は、
認定対象となっています。

〇先代経営者(前社長)の条件

前代表取締役であり、親族と合わせると、議決権の50%以上保有して
いなければなりません。

加えて、後継者以外の親族の筆頭株主である必要があります。

〇後継者(現社長)の条件

現在の代表取締役であり、自身と親族で議決権の50%以上保有し、
親族内の筆頭株主でなければなりません。

また、1社につき1人だけの適用となっています。

〇そして相続時に、「経済産業大臣の認定」を取得します。

〇事業継続要件

その後、対象株式を継続保有し、相続後5年間代表取締役として執務し、
会社の雇用も、5年間で平均80%以上継続させる事も条件です。

以下5年経過後は、対象株式を継続保有していれば、猶予が継続され、
以下3つの条件となった場合相続税の猶予税額が免除されます。

●経営者が死亡した場合

●対象株式の時価が猶予税額を下回る中、株式の譲渡を行った場合

●次の後継者に株式を一括贈与した場合

なお、27年1月1日以後の相続・遺贈から適用されます。

 

かなり複雑な税制ですので、自社の株価が高く、これから相続対策を
行いたいというオーナー会社の方がおられましたら、会社ごとの条件を
シミュレーションしますので、ご相談ください。